松屋銀座1階インフォメーションでの店頭案内を担当しているのは、「サービス課」のクルーたち。日々、お客様に最前線で対応し、お困りごとに寄り添っています。業務は多岐にわたるそうで、他社員も舌を巻くほど。そこで今回は、サービス課のとある一日を追いかけ、「松屋のおもてなしの顔」としてのプロフェッショナルな仕事ぶりをひも解き、仕事への熱い想いを伺いました。

「サービス課」の一日に密着!

10:15  開店前の館内準備を抜かりなく行う

館内の管理もサービス課の仕事。開店前にエレベーター、エスカレーター、入口に分かれ、それぞれ開店前の準備にあたります。

エレベーターは電源スイッチを入れ、動作を確認。エレベーター機ごとに止まる階と止まらない階の設定が合っているかなども確認し、エレベーター周りの掲示物も正しいかチェックします。

エスカレーターも手動で電源を入れ、点検しながら動かします。そして、複数ある入口もそれぞれ解錠。外に設置した看板の位置を直すなど、周囲への目配りも忘れません。

11:00 いよいよ開店! お客様をお出迎え

開店時は正面口、京橋口、南口、東口、地下鉄口にサービス課のクルーたちが並び、自動ドアを手動で開けて、来店のお客様の安全を確保しながらお迎えします。「いらっしゃいませ」のご挨拶とともに、今日も開店です。

12:00 インフォメーションでお客様のどんなお困りごとにも対応

1階正面口すぐのインフォメーションには、お客様から実にさまざまな問い合わせが寄せられます。例えば、『サングラスはどこにあるか?』という質問に対して、7階のメガネサロンだけを案内して終了ではありません。婦人雑貨など他のショップでの取り扱いも確認して、案内します。

案内の助けとなるのが、各店舗にどんな商品の取り扱いがあるかという、最新リスト。季節商品について、松屋銀座にしかない商品、逆に松屋銀座にお目当てがない場合の、同じブランドの周辺店など、必要な情報がさまざまな方向性から引き出せるように、何種もリストを用意しています。このリストづくりもサービス課の役目です。

海外からのお客様も多く、館内についてだけではなく、最寄りのコンビニや地下鉄の出口など、銀座の周辺の施設や店についての問い合わせも。そのために、周辺の案内図も日本語版・英語版・中国語版を用意し、対応します。

14:00 売場を巡回しながら、最新情報を収集

インフォメーション業務の時間以外は、手分けをして、館内を巡回。松屋内では「見印(けんじるし)」と呼ばれ、チェックポイントを定点観察し、変わりはないか、確認して回ります。

「見印」では館内を巡りながら、最新の商品や情報をキャッチすると手書きで詳細をメモ。インフォメーションの商品リストの貴重な情報源に。情報収集には、売場のクルーの協力は不可欠で、日々のコミュニケーションも欠かせません。地下1階食品売場や8階イベントスクエアなどでの催事は水曜始まりが多いため、水曜の開店前には必ず売場を歩き、最新の商品や売場を撮影して、課内ですぐに共有します。

「見印」には、館内の見守り項目も。館内のベンチなど、具合の悪いお客様がいないか、不審物がないかなどをチェックします。

15:00 館内に目を配り、お客様のアテンドを

さまざまなお客様が来店する、松屋銀座。どの方でも快適に過ごしてもらえるように、適切にアテンドするのもサービス課の役目です。

身体の不自由な方など必要とされる方へのエレベーター誘導や車椅子や歩行車の貸し出しや車椅子トイレへの案内など、困っているお客様がいないか、常に目を配り、お声がけをします。

松屋銀座は20時に閉店。まだ営業が続くレストランフロアにつながる入口とエレベーターを除き、エレベーターやエスカレーターを止め、入口の扉を施錠。お客様が館内に取り残されていないか確認しながら、一日の業務を終えます。

お客様の不安を安心に、期待を感動に変える存在であるために

——サービス課に一日密着して、業務の幅の広さと対応の細やかさに驚きました。

秋山さん:お問い合わせが漠然としたイメージや願いから始まることも多いので、お客様のお話を伺いながら丁寧にひも解き、ふさわしいものをご提案しなければなりません。該当するものがない場合は、可能な限り代替案をお伝えできるようにしています。そして、お客様と売場をつなぐために、日々の情報収集とチームでの共有も忘れません。銀座という土地柄、お客様の期待値も非常に高いので、お答えができないことがないように、グルメなどの館外の周辺情報などにもアンテナを張っています。

青木さん:松屋銀座のお客様には昔からご贔屓にしてくださっているご年配の方も多いので、年中行事や冠婚葬祭などの知識もきちんと身に着けて、立ち振る舞いにも気を配ることも意識しています。若い世代のクルーは知らない知識や作法もありますから、共有して補っていますね。

渡邊さん:サービス課の対応にマニュアルはありません。お客様の今の状況を咄嗟に判断して、答えは同じでも、お一人お一人に違う対応が求められます。たとえば、売場の場所を尋ねられて、そのお客様が急いでいたら『3階です』と簡潔に、余裕がありそうだったら地図をお見せして細かくご説明します。少し背の低い方には目線を合わせ、耳の遠い方には声のトーンを上げ、メールのご返信のような見えない場所こそ丁寧を心がけ……私たちの対応の端々からお客様に“松屋らしさ”を感じていただければ幸いです。

——一人ひとりのお客様に寄り添うことを大切にされているんですね。

秋山さん:落とし物やお連れ様と逸れたとき、急病などのアクシデント時のお手伝いには、お客様の不安に寄り添うことを一番に対応しています。また場合によっては、お客様にルールなどをお伝えしなければならない場面もあるんですね。その時には決して『注意』という形は取らず、まずは私たちの不手際に対するお詫びを添えるようにしています。お客様のプライドを傷つけることなくルールをご理解いただけるように、“謙虚な姿勢でのご案内”を大切にしています。

——海外からのお客様も増えていますが、どんなお問い合わせが多いですか?

呉さん:海外のお客様は中国からの方が多く、銀聯(ぎんれい)カード(中国のクレジットカード)の利用に関するお問い合わせが多いですね。館内のご案内はもちろん、おすすめのレストランなどの観光情報もよく尋ねられます。

青木さん:一昨日、台湾の方が、お買い物された15、6万円の眼鏡を店内で紛失されたとのことで、インフォメーションにお越しになりました。呉さんが丁寧に対応していて、その甲斐あって無事に見つかりお手元に戻ったのですが、翌日にわざわざ改めて挨拶に来てくださったんですよね。

呉さん:泣きながらお礼をおっしゃられて、お土産まで持ってきてくださって……感激しました。

——お客様からお礼の言葉を直接いただけるのもサービス課ならでは、ですね!

渡邊さん:励みになりますね。一方で、お客様のご不快に思われたことやご意見を直接頂戴することもあります。サービス課の役割は、現場でのおもてなしにとどまらず、お客様の声と反応を店全体の成長につなげることだと思っていますので、何かあれば現場のクルーにも伝達しています。

サービスの力で松屋銀座のファンを増やし、魅力を高めたい

——「松屋のおもてなしの顔」として、今後、どのようなことを心がけていきたいですか?

秋山さん:銀座という立地で高級感のあるサービスを提供しながらも、話しやすく親しみやすい、なんでも安心して相談していただけるような、信頼関係を築くことです。一人でも多くの方に『やっぱり松屋ね』と言っていただけるような唯一無二の存在でありたいと思います。

呉さん:通訳業務やインフォメーション業務での、お客様への親切、丁寧な対応をさらに磨いていきたいと思います。

青木さん:私は生まれも育ちも銀座周辺で、銀座が大好きで松屋銀座に入社しました。その思いを大切に、日本一の街・銀座への大きな期待を裏切らないように、日々のサービスに当たりたいです。

渡邊さん:サービス課は“松屋の玄関口”を担う部署です。お客様の真のニーズを汲み取って、商品知識や接客を熟知した、専門性の高い現場クルーとの橋渡し役となり、お客様の信頼を得ることはもちろんのこと、その過程で得た知見を店全体のサービスレベルの向上に活かすことも大事な役目です。これまでのサービス課の先輩たちが培ってきた“松屋らしさ”を継承しながら、お客様からいただいたご意見を反映し、改善して、より魅力的な松屋銀座にしていけたらと思います。

うらがわ 編集後記

“松屋の玄関口”である、サービス課。お客様と売場を最前線でつなぐこの部署の対応こそが、「松屋らしさ」を体現しているように感じました。ベテランクルーの青木さん、秋山さんは、お困りのお客様への対応でそれぞれ「松屋らしさアワード」を受賞しているのもうなずけます。

PHOTO/AYUMI OOSAKI TEXT/KAORI AKIYAMA