松屋銀座の開店100周年限定商品として初登場する<ピエール・エルメ・パリ>「テリーヌ チャドウ」。100周年の節目に、2026年のバレンタイン時期に向けて誕生した特別なスイーツを囲んで、スイーツジャーナリストの平岩理緒さんと、松屋銀座バイヤーの土田さんによる試食対談を行いました。お二人の会話から味わいや素材のバランス、そしてこの一品が体現する“シェアするバレンタイン”の楽しみ方をひもときます。

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スイーツジャーナリスト
平岩理緒さん

マーケティング会社で企業のリサーチやプロモーションに携わった経験を活かし、スイーツジャーナリストとして独立。スイーツ情報サイト「幸せのケーキ共和国」を主宰する。新聞・雑誌などでの執筆をはじめ、カルチャースクールや製菓系専門学校での講義、スイーツイベントのコーディネート、商品開発のコンサルティング、コンテスト審査員など、活動は多岐にわたる。月に200種類以上の菓子を食べ歩くことでも知られる。著書・監修に『厳選スイーツ手帖』『厳選ショコラ手帖』(世界文化社)など。

松屋銀座開店100周年を機に登場、<ピエール・エルメ・パリ>の新作テリーヌ

――<ピエール・エルメ・パリ>の「テリーヌ チャドウ」は、どんなスイーツですか?

土田さん:ホワイトチョコレートをベースに、抹茶と柚子を組み合わせたテリーヌです。ホワイトチョコレートも抹茶も、濃厚でコクの出やすい素材で、テリーヌ自体もねっとりとしたお菓子。どうしても重たくなりがちです。そこで柚子を加えることで、後味がしつこくならず、爽やかさを感じていただける仕上がりになっています。

平岩さん:ホワイトチョコレートを使ったテリーヌというのは、<ピエール・エルメ・パリ>としては初めてですよね。フランスでは、ホワイトチョコレートを前面に出したお菓子があまり一般的ではありませんし、その意味でも珍しい試みだと思いました。これまでのテリーヌは比較的シンプルな構成が多い印象ですが、今回は抹茶と柚子が加わることで、香りや味わいに広がりがあり、より華やかな方向性を感じます。

土田さん:そうした新しさも含めて、今回のテリーヌは特別なタイミングで生まれた商品です。松屋銀座の開店100周年の締めくくりとして、バレンタインに向けた企画を相談する中で、新作テリーヌとして考案されました。

――抹茶や柚子といった和の素材はリクエストされたのですか?

土田さん:これまでの記念商品づくりの中で、和の要素を取り入れることは意識していましたが、抹茶や柚子については、こちらからリクエストする前の段階で、すでにご提案の中に含まれていました。

平岩さん:<ピエール・エルメ・パリ>さんは、世界1号店も日本にありますし、以前から抹茶など日本の素材を使ったお菓子作りをされていますよね。日本との関わりがとても深いブランドだからこそのご提案だと思いました。商品名が一般に言い習わされている「茶道(サドウ)」ではなく、「裏千家(茶道の流派の一つ)」の呼び名である「チャドウ」となっている点も、少し踏み込んだ表現でいいなと思いました。

土田さん:日本の食材に対してもこだわりを持たれているブランドですし、そうした背景から、日本への愛着やリスペクトが感じられますね。

――今回のような新作テリーヌの開発は、ブランドとしても珍しい取り組みだったのでしょうか?

土田さん:<ピエール・エルメ・パリ>は百貨店限定の商品を頻繁に作るブランドではないため、まったく新しい商品を依頼するとなると、ハードルはかなり高いです。今回は開店100周年という節目だったからこそ、企画を引き受けていただき、新作のテリーヌを松屋銀座限定の商品としても表現することができました。

平岩さん:まさに、松屋銀座100周年への“お祝い”のような一品ですね。

――食べてみてお味はいかがでしょうか?

平岩さん:口に近づけた瞬間、抹茶の香りがふわっと立ち上がり、食べる前から期待感が高まります。口に入れると、ホワイトチョコレートのやさしい甘さに、抹茶のほろ苦さや香ばしさが重なっていきます。

さらに、ゆっくり溶かしながら少し噛むと、柚子ピールの食感が現れ、華やかな柚子の香りが広がる。食べ進める中で、味わいが変化していくのも楽しいですね。

土田さん:素材選びから細かな部分まで、徹底的にこだわったという話はうかがっています。柚子ピールの存在感があることで、全体の印象がより軽やかになっていると感じました。

平岩さん:とても丁寧に構成されているのが伝わってきますね。テリーヌというと、どうしてもシンプルな味わいになりがちですが、これは抹茶とホワイトチョコレートに、柚子が重なっています。それでも食べ進める中で印象が散らばることはなく、最後まできれいにまとまっている。素材として扱いが難しいと言われる抹茶も、風味だけでなく色味まで美しく生かされています。

「誰かに贈る」だけじゃなく、「時間をシェアする」バレンタインへ

――バレンタインスイーツとして「テリーヌ チャドウ」は、どんな楽しみ方がおすすめですか?

土田さん:今のバレンタインって、「贈る需要」だけでなく、自分用に買ったり、友達と分け合ったりと、楽しみ方が広がってきていると感じています。そうした中で「テリーヌ チャドウ」は、自分へのご褒美としてはもちろん、ちょっとしたおもたせとして持っていき、その場で切り分けてシェアできるスイーツとして楽しんでいただけたらいいなと思っています。

平岩さん:「バレンタインだから」と普段より少し特別なお土産にする。それを誰かと分かち合うというのは、今の時代にすごく合っているのではないでしょうか。「自分チョコ」や「友チョコ」という考え方自体は、もう10年ほど前からありますが、コロナ禍を経て、たくさんの人に配る文化が一度落ち着いた分、今は大切な人、親しい人と一緒に楽しむスタイルがより自然になってきたように感じています。

土田さん:ご家族や親しい方と、落ち着いた空間で一緒に味わっていただけたら嬉しいですね。ブランドとしては、コーヒー、紅茶、ミネラルウォーターとの組み合わせをおすすめしていますが、「どれと合わせるのがいいか」「この組み合わせが好き」と話しながら選ぶ時間も、シェアならでは。特に<ピエール・エルメ・パリ>というブランドだからこそ、素材や背景について自然と会話が広がるのも魅力です。誰かが説明したり、その話を聞いた人がまた別の人に伝えたり。そうしたやり取りが生まれること自体も、シェアすることの魅力だと考えています。

平岩さん:そうですよね。今は本当においしいお菓子がたくさんあって、選択肢も豊富な時代だからこそ、同じものをみんなでシェアして、「どうだった?」「私はここが好きだった」と感想を言い合うこと自体が、ひとつの喜びになっていると思います。物価が上がり、お菓子の価格も上がっている中でも、「誰かと素敵な時間を共有したい」「一緒に幸せを感じたい」という気持ちがあるなら、その選択はとても前向きなもの。バレンタインは、スイーツを贈る日というだけでなく、時間や体験を分かち合うきっかけの日としても大切になってきているのかもしれません。

シェアするバレンタインにおすすめの松屋銀座スイーツ

―― “シェアするバレンタイン”に向けて、ほかに松屋銀座のおすすめスイーツはありますか?

土田さん:今回は“バレンタインに楽しい時間をシェアする”をテーマに、一押しの3アイテムを選びました。見た目や切り分けやすさ、背景のストーリーなども含めて、誰かと一緒に楽しむシーンが思い浮かぶものばかりです。

(1)<アンフィニ> ジャンドゥーヤサンド

土田さん:チョコレートのコクの中にナッツの香ばしさがきれいに重なった、大人っぽい味わいが特徴です。「ジャンドゥーヤ」は、焙煎したナッツのペーストとチョコレートを合わせた素材で、満足感はありながら、後味は重くなりすぎない。そのバランスの良さが印象的ですね。

平岩さん:料理人である太田シェフがアマゾンで出会ったカカオを、料理人や菓子職人の仲間を通じて皆に届けたいという思いに、アンフィニの金井シェフが応えたコラボ、これは注目です。ナッツのコクと濃厚なチョコレート感がインパクト大。“カカオ”の力強さが感じられます。

(2)<くら吉> KURAKICHI あきたフルーツクッキー缶(ショコラアソート)

土田さん:このクッキー缶は、秋田のフルーツを使っている点が大きな特徴で、素材の風味をしっかり感じられます。種類が豊富なので、味の違いを楽しみながら、気負わず手に取れるところも魅力ですね。

平岩さん:クッキー缶って、みんなで囲むと一気に場が和みますよね。ショコラアソートなのでチョコレート好きにも満足感がありますし、「私はこれが好き」「次はこれにしよう」と選びながら会話も弾みそうですね。秋田犬やフルーツが描かれた缶のデザインも素敵で、取っておきたくなります。

(3)<ナーディル・ギュル> バクラヴァBOX

土田さん:<ナーディル・ギュル>のバクラヴァは、何層にも重ねた薄い生地にナッツを挟み、シロップを含ませた中東の伝統菓子です。日本のお菓子とは構成も甘さの出方も違っていて、その違いを楽しむことができます。

平岩さん:バクラヴァは、松屋銀座に専門店がオープンしたこともあり、近年、日本でも注目されている品ですが、こちらのブランドは日本人も食べやすい上品な甘さ。小さなピースが並んでいる感じもかわいらしくて、思わず手に取りたくなる。まず目で楽しめるお菓子ですね。

Ginza Valentine World

<ピエール・エルメ・パリ>「テリーヌ チャドウ」をはじめ、今回ご紹介した商品は、地下1階和洋菓子売場にて販売されます。

Ginza Valentine World
場所:8階イベントスクエア
販売期間: 2026年2月4日(水)-14日(土)
https://www.matsuyaginza.com/jp/ginza/events/food/ginza-valentine-world-2026/20260103?tab=dessert-course

場所:地下1階和洋菓子売場
販売期間: 2026年1月28日(水)-14日(土)

場所:松屋オンラインストア
販売期間:2026年 1月3日(土)-14日(土)
https://store.matsuya.com/cp.html?fkey=valentine
2026年1月30日(金)までは、8階イベントスクエアの商品を、31日(土)からは、地下1階和洋菓子のバレンタイン商品をご紹介。

PHOTO/TAKAYUKI FUJIMOTO TEXT/AYANO SAKAMOTO