松屋銀座で2021年からはじまった「BEAUTIFUL MIND 毎日ひとつ私と誰かにいいことを」。社会や環境に配慮しながら、暮らしをより心地よくするヒントを提案する全館フェアです。本記事では、そのBEAUTIFUL MINDの一環として、モデル・高山都さんに“未来につながるお買い物哲学”をうかがいながら、BEAUTIFUL MINDセレクションの中から、都さんのレコメンドや共感したアイテムを紹介します。

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高山 都さん

1982年生まれ。モデル、執筆業、商品のディレクションなど幅広く活動し、丁寧な生き方を発信するinstagramも人気。趣味は料理、ランニング、器集め、旅行、和装。2024年11月に4年ぶりの著書『高山都、もの語り ひとりごと、ふたりごと』(宝島社刊)を出版。

“作り手が見えるもの”を長く愛したい

——お買い物をする上で、「サスティナブル」や「エシカル」を意識していますか。

私はお買い物が大好きなので、その上で心がけていることは、「長く使える」、「流行に左右されない」、「作り手の方を応援できる」ものを選び、大切に使うことです。「買う」という行為が好きだからこその考えですね。

サスティナブルやエシカルを本気で突き詰めると、買わないことや、リサイクルを選ぶといった行動になると思うのですが、私はものを買うことも、着ることも、使うことも大好き。コンビニも利用しますし、ペットボトルの水も飲みます。ただ、選択肢があるなら、誰かの手仕事が入ったものを積極的に選ぶようにしています。

——そのような考え方になられたきっかけはなんですか。

もともと器が好きで、それが出発点だったように思います。ちょうど10年ほど前から、作家さんと直接お話ししたり、窯元を尋ねる機会をいただくようになり、また同じ頃、旅のお仕事も増えてきて、各地の生産者さんに取材することが増えたんです。

それまではあまり考えずにものを買っていましたが、30代前半からそうした機会に恵まれて、作り手の方々とお話しするようになり、次第に「自分の買い物が誰かの応援につながっている」と思うようになりました。それから、できるだけ“作り手が見える”買い物をしたいと思うようになったんです。

PICK UP ITEM

——「作り手が見える買い物」をするようになり、意識は変わりましたか。

作り手の方を知ってから買うと、そのものをより大事に使うようになります。お米も「暑い中、除草剤使わずに手で雑草を抜いたんだ」などと、愛おしくなり、より感謝していただくようになりました。買い手・使い手にも責任が生まれるというか、それ以来、買うことや選ぶこと、使うことに責任を持つようになりました。

例えば、お洋服も「誰かに譲ったとき、その人が喜んでくれるか」を考えて選ぶようになりました。今までも、仕事柄、持ちきれないほどお洋服が増えてしまったり、似合わなくなったときには知人に譲っていましたが、やっぱり「嬉しい」という顔が見たいじゃないですか。それは値段やブランドだからではなく、その人にも「好き」と思ってもらえるものを選びたいという気持ちです。長く使えるものを買い、私も楽しんで、もし持ちきれなくなって誰かに譲るときは、その人の喜びにもなるものを買いたい。それが大切に使うということにもつながると思います。

PICK UP ITEM


ルールはない。自由な発想で楽しんで使う

——特に思い出に残っているお買い物はありますか。

いろいろありますが、4年前に今のマンションに引っ越したとき、昭和初期に使われていたガラス棚をリペアした家具を買ったんです。今その中に集めたガラスたちを入れているんですが、東向きの部屋なので、ガラス棚に朝日が差し込むのをぼーっと眺める時間がとても好きなんです。なかなか、この感覚を分かってくれる人がいないんですが(笑)。

——商品を選ぶポイントはありますか。

自分の「好き」にはまるか、はまらないか。あと自宅に合うか、合わないか。この感覚を大事にしています。うちは古いマンションですし、家具もヨーロッパなどの古いものを使っているので、そうしたものたちとの相性はよく考えますね。だからとても素敵でも、ピカピカしすぎるものは選びません。

あと大事なのは「一緒に暮らす」こと。当然のことですが、買って終わりじゃなくて、暮らしの中で使ってこそ意味があるので、「ちゃんと使う」ことがゴールなんです。

——具体的なエピソードがあれば教えてください。

うちには、おちょこのような小さな器がたくさんあります。普通は酒器として使うものですが、作家さんに聞くと「何を入れてもいいよ」とおっしゃるんです。「これにはお茶しか入れちゃダメ」とか「色のついたものはダメ」など、器の使い方を決めつけているのは、実は使う側がなのかもしれないと気づきました。

私は昭和の名優・高峰秀子さんや、エッセイストの向田邦子さんなどのマインドにとても憧れていて、本からも諸先輩方も器を自由に使っていたことを知りました。だから私も自分流に工夫して、おちょこに残り物を詰めて小鉢定食にしたり、大きな器やお弁当箱の輪っぱの仕切り代わりに使ったりして楽しんでいます。器にルールはないんですよね。

——昭和に活躍されたすてきな女性のマインドを引き継がれていますね。

そうですね。勝手に先輩方からのバトンつないでいる一人、と思っています(笑)。そして、私が買い、使い、誰かに譲ったりすることで、またこのマインドは受け継がれていくはず。こういう「バトンをつないでいる感」というのは好きですね。

ちなみに、今日着ている青い服も120年前のヨーロッパのヴィンテージなんです。青山のヴィンテージショップで買ったんですが、生地もしっかりとしたシルクで、すべて手縫いなんです。とても状態がよく、一目で気に入りました。大事に受け継がれているものには、大切にされてきた想いのようなものも感じられて、そして今、私の手元にある。なんか今日のテーマはぴったりですよね。

PICK UP ITEM

工夫をする。それが、サスティナブルであり、エシカル

——ご自身のフィルターで、ものとのすてきな関係を築いているんですね。

そうですね。「私だったらどう使うか」というところをとても大事にしています。そうやって考え、工夫するマインドこそ「美しさ」につながると思うんです。

それは日本だけでなく、世界中を旅して思ったことです。伝統が受け継がれている地域は、どこもさまざまな面で工夫しています。そしてそれは、正解がない。みんな独自性があり、工夫がいかに大切かわかりました。

便利さに依存しすぎてしまうと工夫することを忘れてしまうので、工夫するマインドは持ち続けていたいと思います。工夫上手な人って、暮らし上手だし、生き方上手です。それはサスティナブルやエシカルな考え方を大事にすることにも繋がると思います。

——では最後に、この先のお買い物や暮らしでやってみたい、チャレンジしてみたい、ことはありますか。

大人になり、より「作り手を応援したい」という気持ちが強くなってきました。20代は自分自身が生きるのに精一杯で、人や社会を見る余裕もなく、自分の中の軸もありませんでした。それが、30代経て、40代になり、やっと自分の軸ができているので、今度は人や社会など「何かのために自分ができること」をもっと探して増やしていきたいと思います。

——その「軸」を作るために意識されたことはありますか。

やはり本は読みましたね。あと自分で調べること。例えば、お弁当作りを頑張りたいと思ったら、SNSで「この人、おもしろい!」と思った人を片っ端からフォローして研究しました。ファッションもとにかく買って、試して、感じて、反省してということ繰り返し、それで初めて知るというか。私は、時間も、お金も、心も、使って初めて「学べる」と思っています。

PICK UP ITEM

BEAUTIFUL MIND 毎日ひとつ私と誰かにいいことを

10月15日(水)-28日(火)松屋銀座各階

持続可能な社会へ向けた暮らしを提案する「BEAUTIFUL MIND 毎日ひとつ私と誰かにいいことを」は今回で9回目の開催です。期間中は、日本の秋を楽しむ人がふえれば、きっと、未来もちょっといいものになる。そんな想いを込めて、よりよい暮らしのヒントになるようなアイテムが全館に集まります。触れて、作って、心地よい未来を考えるワークショップや、ご不要になったお洋服やタオルなどを回収するキャンペーンなども開催。ご来店をお待ちしております。

〈ファミー バイ ミホ サトウ〉
TOSAパフェ(1杯)1,901円
■地下1階 ギンザスイート
◎10月15日(水)– 21日(火)イートイン販売

土佐ベルガモットにショウガ、土佐ジローの卵に、茶葉の「べにふうき」——。南国・高知のおいしい食材をパフェに詰め込みました。芸術的で見目麗しいパフェをご堪能あれ! ※商品の仕様は変更になる場合がございます。

〈アンフィニ〉
アソルティモン セレブラシオン サン(1缶)3,456円
■地下1階 和洋菓子 
◎10月15日(水)発売

高知県産のフルーツと松屋銀座だけのスペシャルテイストなコラボクッキー缶。土佐ベルガモットや高知県産ゆずを使用したフールセックに、松屋銀座限定の抹茶のサブレなどを詰め合わせました。

〈カンディハウス〉
リビングテーブル(北海道サクラNF/直径50×H45cm)63,800円
■7階「家具・インテリア THE HOME」

「端材」という名の天然資源から生まれたクラフト感たっぷりリビングテーブル。製品の生産時に出てしまう端材を有効活用しました。このほかにも2種のサイズ※1があり、自在に組み合わせることができます。樹種も5種からお選びいただけます※2。
※1 直径50×H35cm、直径70×H40cmの商品もご用意。サイズごとに価格は異なります。
※2 樹種により、価格および木目が異なります。

〈CFCL〉
ワンピース(ポリエステル/1)68,200円
■3階 リタズダイアリー

再生ポリエステルを使用したニット地のワンピース。体のラインを拾わずに美しいフレアシルエットが広がります。シームレスで着心地が良く、自宅でも簡単にケアができるのも人気のポイントです。

〈アリマノ〉
(左から)ネックレス (鹿の角、シルバー、K18メッキ) 27,500円
リング (鹿の角、真鍮、K18メッキ) 29,700円
■7階 ライフスタイル〈ナラテイバン〉


古くから神の使いとして大切にされてきた鹿。その角にオリジナルのカットや研磨を施し、ジュエリーに仕上げました。独特の質感が、唯一無二の存在感を放ちます。

〈ニノ〉
バッグ (フォックスファー、レッキスラビットファー、牛皮/W30×H31×D9cm) 55,000円 ※1点限り
■3階 婦人雑貨
◎10月22日 (水) ‐28日 (火)販売

使われなくなったファーのマフラーやアクセサリーをアップサイクル。バッグには新品の革を使用し、作家自ら手縫いで丁寧に制作しています。遊び心たっぷりの世界にひとつのアニマルファーバッグ。

PHOTO/TAKAYUKI FUJIMOTO TEXT/CHIHIRO BECHAKU