今年で17回目を迎える銀座松屋の「銀座・手仕事直売所」が100周年を記念してさらに魅力満載に。日本各地の作り手たち約100組が店頭に立つ直売所スタイルのこのイベントは、お客様が作り手とつながれる場としてさらに魅力満載気を集めてきましたが、作り手たちも会場でさまざまな“つながり”を楽しんでいるそう。今記事では100周年を記念したSpecial企画「作り手と作り手」をはじめ、作り手たちのつながりから生まれた“ちょっといい話”をご紹介。いつもより作り手を身近に感じて、もっと手仕事直売所のイベントを楽しもう!
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◆作り手×作り手ちょっといい話1
米澤ほうき工房×木工ヤマニの新しい試み!作り手と地域をつなぐ“箒”に注目
作り手同士の交流の場にもなっているという「銀座・手仕事直売所」。今回は、そうした作り手たちのつながりを生かした「作り手と作り手」を特別に企画。約30組の作り手たちがジャンルやタイプの異なる作り手とタッグを組んで生み出した、スペシャルな手仕事アイテムがお披露目されます。
そのひとつが、長野県の2組の作り手による“箒(ほうき)”。「米澤ほうき工房」の米澤資修さんが作る松本箒の柄を、木製のペッパー&ソルトミルが人気の「木工ヤマニ」の内山夫妻が木工旋盤で作ります。

米澤ほうき工房 米澤資修さん(左)
約150年の歴史を持ち、かつては100を超える生産者がいたという松本箒を唯一作り続ける工房。米澤資修さんはその3代目。2011年に家業を継ぎ、父母らとともに原料のホウキモロコシの栽培から、箒作りまでを一貫して手がけています。「銀座・手仕事直売所」の常連組で、米澤さんの箒を目当てに来場する人が多数!
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木工ヤマニ 内山翔平さん(中央)、未来さん(右)
ともに長野県の上松技術専門校・木材造形科出身者。 卒業後、翔平さんは建具店で家具の製作に励み、2018年に長野県大町市にて「木工ヤマニ」として独立。 2020年には、椅子張りの工房などで経験を重ねた未来さんが加わり、夫婦での活動を本格的に開始しました。「銀座・手仕事直売所」の参加は、今回で5回目
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長野県の作り手同士が初めてのコラボ! 地元の材料で作る“箒”がお目見え
「内山夫妻は地元の作り手仲間ですが、コラボは初めて。うちの工房では同じものをくり返し作ることが多いので、とてもいい機会になりました。ふたりの若いセンスが加わることで、ぐっとモダンな印象になりました。新しいものを作るのって、やっぱりワクワクしますよね。世界観が広がります」と米澤さん。
今回、内山夫妻が作った柄は全部で8種。曲線や直線、窪みを織り交ぜたデザインだけでなく、握りやすさも重視。木材の色合いやフォルムに合わせて、3人で箒を編む麻糸の色を相談したり、完成したコラボ箒を手にして会話を弾ませたり。「銀座・手仕事直売所」がつないだ特別な箒が生まれました。


「箒の原料は自家栽培のホウキモロコシ、柄の木材はすべて長野県産。“長野の材料で作った箒”ですから、今回のコラボが地元の手仕事のアピールにつながると嬉しいですね」と話す米澤さんを見て、大きくうなずく内山夫妻。出品されるのはすべて1点もの。オンリーワンの手仕事との出会いをお楽しみに!


手間をかけて育てた原料で1本ずつ作る箒は、ずっと愛用したくなる使い勝手のよさ
自家栽培のホウキモロコシのみを原料に箒を手作りする「米澤ほうき工房」。原料へのこだわりは、掃き心地のいい“柔らかくしなる箒”に欠かせません。
「柔らかな箒はフローリングの床が掃きやすく、隙間や角のホコリをすくい取るのにも便利です。おすすめは掃除機との併用。箒でホコリをかき集めて、掃除機で吸い取る。掃除がとてもはかどります」

そう話す米澤さんは使い勝手も重要視。「昔ながらの松本箒は柄が長く大ぶりなので、小回りが効くよう柄を短くしたり、コンパクトにして軽量化したり。伝統を守るべきという声もありますが、今の時代に合ったものでないと、伝統は続かないと思います」。さらに嬉しいのが、購入時に使い手の掃き癖に合わせて穂先を調整し、その後の修理や調整にも対応してくれること。一生ものの箒になるかもしれません。



美しくて愛嬌もたっぷり。オブジェなみたいなペッパーミル
「米澤ほうき工房」とのコラボで箒の柄を手がけた「木工ヤマニ」。建具や家具なども手がけますが、メインとなるのが内山翔平さんの胡椒好きが高じて生まれたというペッパーミルです。「胡椒が大好きでペッパーミルを集めていましたが、木製のものは意外と選択肢がなかったので、自分で作ってみようと思ったのが始まりでした」と翔平さん。
木工旋盤で高速回転させながら刃物で削って形作っていくミルは約300種のレパートリーがあるそうで、形も大きさも驚くほどさまざま。モダンで美しいフォルムながら、握りやすく、どこか愛らしい佇まいで、食卓やキッチンを和やかに彩ってくれます。妻の未来さんは塗装や組み立てのほか、ニンジン、ナス、コケシ、UFO、ビーナスなど一つひとつに付けられた名前を考案。選ぶ楽しさもあるミルは、愛着の湧く逸品になりそうです。



今回の銀座・手仕事直売所生まれの“作り手がつながる作品たち”
開店100周年を記念して「作り手と作り手」が一緒に作った全20作品がラインナップ。その中から「箒」を含む4作品をピックアップしてご紹介します。
米澤ほうき工房(箒)×木工ヤマニ(ペッパーミル)の「箒」

大下香仙工房/Classic Ko(蒔絵ジュエリー)×工房イサド(木工)の「ブローチのための小さな額」

宋艸窯(陶器・布製品)×HICOHO 砂原悠一(革)の「旅持ち茶器」

新田佳子(硝子)×垣内信哉(硝子)の「ボンディング加工グラス」

◆作り手から広がるちょっといい話2
音楽でつながる!作り手から始まったDJ TIMEが進化中です
普段はラジオや音楽を聴きながら、作業や創作をしている作り手たちが多く、会場ではそうした話題も作り手同士のコミュニティを深めるきっかけに。しだいに作り手たちがお気に入りのアナログレコードを持ち込んで会場でかけるようになり、「銀座・手仕事直売所」恒例のDJ イベントへつながったとか。
今回も「Club 直売所」と名付けられたチームのメンバーが、接客の傍らDJを務め、特設のDJブースからに心地よいリズムを流します。さらに会期中は、サポーターのDJ/プロデューサー ・沖野修也さんがこのイベントのために制作したスペシャルミックス音源を会場限定でオンエア!


◆作り手と来場者のちょっといい話3
実演のおもしろみって、作り手と来場者のコミュニケーションなんです
作り手たちの実演も「銀座・手仕事直売所」の恒例企画のひとつ。来場者には制作工程を目の前で楽しめる貴重な機会となり、作り手とのコミュニケーションも広がります。
例えば、出店回数多数の「大久保ハウス木工舎」は、毎回、会期中に100本ものへらを制作。山のような木くずの中で実演をしていて、ブースが作業場と化しているとか。作り手たちの高度な技を見たり、こだわりや思いを聞いたりできる貴重な機会となります。
「作り手にとっても、実演はお客様と交流が深まるよき機会。お客様との会話から、今度はこういうのを作ってみよう、ここを改良してみようと、ヒントになることも多いので、たくさんおしゃべりしたいです」と、米澤ほうき工房の米澤さん。

<大久保ハウス木工舎/木工>へら削り 実演とお直し
<金網つじ/金網製品>手編み茶こし製作 実演
<須浪亨商店/いぐさかご>びんかご編み 実演
<SOSAKUBAG/楮バッグ>楮バッグのメンテナンス
<てつ工房 小島鐵平/陶器>スリップウェア絵付け 実演
<10 Good/砥石>包丁研ぎ 実演
<松野屋/荒物雑貨問屋>ミシンで帆布のかばん製作 実演
<八柳商店/樺細工>樺削り体験 実演
<米澤ほうき工房/ほうき>ほうき作り 実演
*予定は変更になる場合がございます
松屋銀座の名物イベント「銀座・手仕事直売所」を9月17日(水)-23日(祝・火)に開催

17回目の今回は松屋銀座100周年記念でパワーアップ
昨年は約4万人が訪れた「銀座・手仕事直売所」。全国から作家、職人、デザイナーなど約100組の作り手が大集合し、器、生活道具、衣類、アクセサリーをはじめとする多彩な手仕事に出会えます。 チャレンジや新作を紹介する「次の100年に向けて」、「作り手と作り手」のSpecial企画のほか、「あたらしい日常料理 ふじわら」など、食の作り手9組が日替わりで出展する「日替り市場」にも注目を。
銀座・手仕事直売所
会期:2025年9月17日(水)ー23日(祝・火) 午前11時ー午後8時 ※最終日は午後5時閉場
会場:8階イベントスクエア
入場料:無料 ※物販の購入にかかる費用は別途必要になります
※参加作家やワークショップなどイベント詳細は以下の「イベント詳細はこちら」よりご確認ください
PHOTO/NORIKO YONEYAMA TEXT/MIE NAKAMURA