松屋銀座の多くのお客様から愛されているZUCCa。開店100周年を記念してコラボレーションが実現し、限定Tシャツが制作されました。デザインには、松屋銀座の建物をはじめとしたさまざまなモチーフが使用されています。制作背景にある想いや、デザインのこだわりを関係者へのインタビューで伺い、 “松屋らしさ”が随所に発見できて、愛着が湧いてくる、そんなTシャツが生まれるまでをご紹介します。
「松屋らしさ」がTシャツになるまで
今回のコラボ商品開発が始まったのは、約1年前の2024年夏頃。ZUCCaは商品のみならず、販売員の皆様の人柄も素敵で、松屋銀座のお客様に大人気のブランドです。「ZUCCaと開店100周年の特別アイテムを作ることができたら、お客様によろこんでいただける機会になると思い、コラボのご相談をしました。ブランドの世界観、雰囲気が松屋と似ているなと感じることも理由のひとつです」と話してくれたのは、松屋銀座でバイヤーとして働く渡辺大輝さん。渡辺さんが中心となり、ZUCCaとのTシャツづくりが始まりました。
最初にZUCCaから提案されたデザインは、松屋銀座の外観の写真を使用したフォトTシャツ。初めてデザインを見た際の印象を、渡辺さんはこう語ります。
「爽やかな白のTシャツに、ノスタルジックな松屋銀座の写真が添えられていて、落ち着いた優しい印象を受けました。毎日見ている馴染みの建物が、少し新鮮に見えました」
その後、デザインを検討していく中で、もう一つ別の案を作成することに。「私自身を含め、松屋銀座としてあまり前に出過ぎるのが少し気恥ずかしく、控えめに表現したいという気持ちがありました」と渡辺さん。
控え目なデザインも「松屋らしさ」であると考え、生まれたのがグラフィックのデザインです。こちらも同じく建物外観をモチーフにしていますが、よく見ると松屋銀座だとわかる、控えめながらもインパクトのあるグラフィックTシャツができました。
さまざまなデザインが出揃う中で、どれを採用するかについては、松屋銀座社内ではもちろん、ZUCCaのショップ販売員さんとも検討を重ねたとのこと。どの写真のTシャツなら松屋銀座のお客様によろこんでもらえるかを第一に考えながら、選定が進められました。そして、検討の結果、フォトTシャツとグラフィックTシャツの両方を制作することに。
「グラフィックで制作いただく予定でしたが、最初に見たフォトの素敵さも忘れられず、フォトTの制作もお願いしました」
お客様が実際に着用された時をイメージし、フォトTシャツは約20種の中からこのMATSUYAの看板が入っていない写真を選んだといいます。





完成したTシャツを前に渡辺さんに1番の魅力を聞きました。
「『控え目な松屋PR』です。何気なく見るとわからないものの、よく見ると松屋とわかるアイテムに仕上がりました」
こうして、“よく見ると松屋銀座”という仕掛けが詰まった、こだわりの記念Tシャツが完成しました。

松屋銀座の「今」を未来に残す、ZUCCa流デザインの視点
ZUCCaのデザインチームは、コラボTシャツの依頼を受けたとき、記念すべき節目にふさわしいアイテムとなるよう、銀座の街の中での松屋銀座の存在感を、ZUCCaらしい遊び心のあるテイストで表現しようと考えたといいます。
100年間銀座の街に在り続けてきたその存在感を表現するため、現在の松屋銀座の外観をモチーフにすることを決定。開店100周年という「今この瞬間の姿」が未来に残ってほしい、何年後かに見返した時に「あの頃はこうだったな」とノスタルジーを感じてもらえたらと願いを込めました。
実際に松屋銀座に足を運び、撮影を行ったというデザインチーム。撮影時は、ちょうど外壁広告がないタイミングで、建物本来の表情が露わに。真っ白なキャンバスのように、さまざまな個性を受け入れる懐の深さを感じさせてくれたそうです。「白くフラットなファサード(外観)が光を受けて、銀座の街の中でスッと明るく浮かび上がるような印象を受けました」と話します。

ZUCCaデザインチームに聞いた、各Tシャツのこだわり
全アイテム共通の背面のロゴ
「ZUCCa」ロゴは松屋銀座館内の階数表示などで使用されているフォントとなっています。このフォントは松屋銀座の象徴であり、1978年に仲條正義氏によってデザインされたもの。歴史あるロゴタイプを使わせていただくことに対して、緊張感と同時に大きな敬意をもって制作に取り組みました。普段から館内で目にするフォントをTシャツの背面にさりげなく配置することで、松屋のお客さまにも“気づいて嬉しい”、そんな親しみを感じてもらえるよう意識しました。



フォトTシャツ
「今この瞬間の姿」のコンセプトを表現した一枚。建物全体ではなく、来館者の視点を意識した構図にこだわり、「見回す」「見上げる」といった自然な視線の動きを取り入れました。さまざまな構図を試し、最終的に光を受けて暖かみを感じる外観写真を採用。さらに写真の質感にもこだわり、1970年代の柔らかい描写が特徴のレンズを使用することで、当時の空気感や記憶を呼び起こすような印象を目指しました。
グラフィックT白・黒
写真をもとに、より自由かつ抽象的な表現を目指したデザインです。正面に「松屋銀座」の文字表記はありませんが、建物のシルエットと“MATSUYA GINZA”のロゴタイプを使ったZUCCa表記により、見る人に自然と松屋銀座を想起させる構成に。ベースのデザインは共通ですが、色の違いによって印象が変わるよう、トーンや抜け感のバランスに特に配慮しています。
お客様への感謝を込めて。Tシャツを通して届けたいメッセージ
開店100周年を迎えた松屋銀座の「今」を形にした今回のコラボTシャツ。この商品を手に取り、身につけ、松屋銀座のことを思い出してもらいたい、そんなお客様へのメッセージも込められています。
「松屋銀座が開店100周年を迎えられたのは、松屋をご贔屓にしてくださるお客様のおかげでもあります。そんな日頃の感謝を私たちから伝えられたらと思っております。松屋銀座での思い出、ZUCCa様での楽しいお買い物のひとときを、着用するたびに思い出していただけると幸いです」(松屋銀座・渡辺さん)
「見た目の印象に加え、『何が描かれているのか』『どんな意味があるのか』を思わず考えたくなるような、“少し踏み込んで感じる楽しさ”を込めました。パッと見ではすぐに松屋銀座とわからないけれど、よく見ると“あ、これ松屋なんだ”と気づく。そんな静かな発見が、着る人と見る人の間にちょっとした会話や親しみを生むような、愛着のわくTシャツになればと思っています」(ZUCCaデザインチーム)
開店100周年の今の松屋銀座が一枚のTシャツになりました。ぜひ、こだわりの一枚を手にとって、「松屋らしさ」を感じてみてください。
100周年記念松屋銀座限定Tシャツ

2025年8月1日(金)販売開始
MGフォトT(16,500円、白、レディースフリーサイズ)/MGグラフィックT(19,800円、白・黒、レディースフリーサイズ)
販売場所:5F キャラクター ZUCCa(ズッカ)
TEXT/SERIE SAITO(TORENDOU)