松屋銀座の売場では、たくさんのショップクルーたちが働いています。「松屋のうらがわ」第3回は、2024年に新しく設定された「松屋らしさアワード」を受賞した、関口直子さんをクローズアップします。3・4階で働く多くのショップクルーたちのまとめ役である彼女が、日々心がけてきたこととは?

「松屋らしさアワード」受賞者/関口直子さん

日々、「気配り・目配り・心配り」を笑顔で率先

松屋らしさアワードとは?

近年、世の中がめまぐるしく変わっていく中、松屋も時代に合わせて変化してきました。でも100年以上続く企業として、変わってはいけないものがある、それこそが“松屋らしさ”なのでは?と考え、各部門から選出された推進リーダーで運営される「松屋らしさ推進委員会」を発足しました。「創業の精神に則った「松屋人心得」にある5つのワード“誠実” “謙虚” “真剣” “勤勉” “挑戦と創造”を基に、あるべき姿を明確にしていく活動をしています。

その中で、松屋で働く全てのクルー(松屋社員、グループ会社社員、お取引先など)を対象に、“松屋らしさ”を体現している人を讃える「松屋らしさアワード」を設定しました。3ヶ月タームで推薦を募り、推進委員会による投票・ディスカッションを表彰しています。第1回は2024年11月、第2回は2025年2月に開催されました。表彰者は、社内報でお知らせしたり、誰もが目にする社員食堂の横に掲げたりして共有しています。
(構造改革推進委員会 担当部長 堀江孝志さん)

ショップ運営部運営2課
婦人服・ハンドバッグ・宝飾時計係
マネージャー
関口直子さん

1994年に松屋へ新卒入社。浅草店でインフォメーションやエレベーターなどのサービス業務を経て、浅草・銀座両店のファッション売場を長年担当。2022年より銀座本店ショップ運営部マネージャーとして、3・4階フロア約70ショップの管理・運営を担う。松屋一筋31年。

〈推薦コメント〉
関口さんはいつも笑顔で挨拶し、従業員やお客様へ細やかな気配りを欠かしません。突然会社から異動を告げられ動揺するショップクルーに、親身に声をかけ相談に乗る姿勢など、日々の行動が周囲への思いやりに溢れ、多くの人々の心を温かく支えています。それらの言動は、まさに「松屋らしさ」を体現しています。

関口さん インタビュー

———周囲へ心を配る姿勢が評価されていますが、普段からどんなことを心がけていますか?

「日頃の挨拶です。コミュニケーションの中で一番大切だと思います。『おはようございます』『お疲れ様です』という短いやりとりでも毎日続けることで、相談しやすい雰囲気が生まれたり、相手のちょっとした変化にも気づけたりします」

———推薦コメントにも「異動になったショップクルーに、親身に声をかけ……」というエピソードが出てきますね。

「周囲の人たちがいつもと何か違うと感じたときには、声をかけるようにしています。誰かがいると言いづらいこともあるかもしれませんので、ひとりになったタイミングを見計らってですが……。あのときも、異動を告げられたショップクルーの表情がいつもより暗く、動揺が伝わってきたので声をかけました。『気づいてくれたことがすごく嬉しかった』と言ってくれたひとことは、今も心に残っています」

———松屋の先輩たちの姿から学んだことも多かったですか?

「はい。売場ではお客様だけではなく、社員、取引先の方、各ショップのショップクルーたちなど、さまざまな方と関わります。そんな中、話しかけやすい雰囲気を常につくってくれる先輩の存在はすごくありがたく、自分の目標にもなりました。話しかけづらい空気が漂っていると、小さなミスも言い出せずに、結果的に大きなトラブルにつながることもありますから」

———3・4階の売場のチームテーマは「気配り・目配り・心配り」と聞きました。どんな思いが込められていますか?

「私を含めて社員は5名と少数ですが、約70のショップのクルーのみなさんの協力があってこそ成り立つ、共存共栄の関係です。社員がわからないことは助けていただき、松屋銀座としてのやり方や考え方を理解してもらうために、私たちからお願いをすることもあります。

松屋銀座の社員にとっての“常識”は、各ショップのクルーの方たちにとって当たり前とは限りません。というのも、ショップの多くは百貨店内だけでなく、路面店やショッピングモール内に出店していることもあり、クルーの方のこれまでの勤務環境や経験はさまざまだからです。特に百貨店勤務が初めての方には、松屋銀座の考え方をきちんと説明するように心がけています。日頃の関係性などに合わせて、相手の心に響くような伝え方を工夫しています。

だからこそ、相手を思い、寄り添って、気や目、心の全てを配ることはとても大切。マネージャーとして自ら率先して心がけています。また社員同士でも、何かができたらお互いに『ありがとう』の言葉を忘れないようにしています」

———関口さんが考える“松屋らしさ”とは?

「長い間、先輩方が築いてきてくださったことですが、『親切に丁寧に』という姿勢です。自分たちが笑顔で楽しく仕事をすることを大切にすれば、それが自然と親切さや丁寧さにつながり、松屋銀座店に配属されたショップのクルーの方たちから『松屋さんは働きやすいです』と言っていただけたり、それがさらにお客様にも伝わっていくのではないかなと思います」

———松屋銀座が100周年を迎え、売場も時代とともに変化しているなか、感じることは?

「買い物はインターネットでもできる時代ですが、それでもわざわざ松屋銀座を選んでくださるお客様がいること、私たちの顔や名前、過去のやりとりまで覚えてくださっているお客様がいることは、とてもありがたいことです。ネットではできない、人対人のつながりをより大切にしながら、 変わらない“松屋らしさ”をこれからも笑顔でお客様にお伝えしていきたいです」

うらがわ 編集後記

「受賞は、先輩方や周りのみなさんに支えてもらったおかげ」と、関口さん。謙虚であるからこそ、日々、基本に忠実に、コミュニケーションを大切にして相手に気を配ることができるのでは? 松屋らしさにあふれる温かな売場に、私も足を運びたくなりました。

PHOTO/YUKO CHIBA TEXT/KAORI AKIYAMA