美しく豊かな暮らしを提案する松屋銀座7階のライフスタイル・リビングフロアでは、開店100周年を記念した催しが目白押し。今回は、デンマークの家具メーカー「カール・ハンセン&サン」の協力のもと、デンマークデザインにフォーカスしたふたつのイベントの模様をレポート。そのイベントの舞台となるデザインコレクションとザ・ホームの魅力も併せてご案内します。

開店100周年記念のイベントの初日をレポート

あのYチェアがなんと100脚も!?

日本では「Yチェア」の愛称で親しまれる、デンマーク生まれの名作チェア・CH24。松屋銀座7階の「ザ・ホーム」では、4月16日(水)から28日(月)まで、ディスプレイなどで使用したYチェアを特別価格で購入できる展示現品特別販売会「100脚のYチェア」が開催されました。


ずらりと並ぶ、さまざまな素材やカラーのYチェア。その数、なんと100脚!  これだけの数のYチェアが一堂に会すのは、日本では初めてのことかもしれません。「100周年だから、100脚集めちゃう? そんなカール・ハンセン&サンさんとの何気ない会話から始まった企画ですが、こうやって並んでいるのを見ると圧巻ですね」と、本企画を担当した生活デザイン部バイヤーの蓑輪正太郎さん。

「Yチェア」の木材はビーチ材やオーク材が一般的ですが、100脚の中には、すでに廃盤となったチーク材やマホガニー材を使ったレアアイテムも。また、おなじみのペーパーコードの座面とは一味違うレザー座面のモデルなど、自分だけの掘り出し物を見つけるワクワク感があります。

「定番のビーチ材も木目や色味に個体差があるので、現品を見比べながら選べる機会はかなり貴重だと思います」と蓑輪さん。会場を埋め尽くすYチェアを前に、長年北欧デザインに注力してきた松屋銀座の底力を感じずにはいられません。

松屋銀座だけの限定カラーも誕生!

もうひとつ、見逃せないのが、開店100周年を記念して松屋銀座によって選定された限定カラーのYチェアです。カラーはアースベージュ、アースアイボリー、アースネイビーの3色。いずれもグレーがかった絶妙なくすみカラーで、どんなインテリアにも馴染むこと間違いなし。

サイドの貫の内側には、シリアルナンバー入りの真鍮製プレートが輝いています。各色20脚の限定販売。手に入れるなら、どうぞお早めに! ※現在予約販売でご案内しております。商品は8月上旬以降、順次入荷予定となります

北欧デザインの源流がここに

続いて訪れたのは、7階「デザインギャラリー1953」にて開催中の企画展「コーア・クリント?ーデンマーク家具デザインのはじまり」。

「コーア・クリントは20世紀初頭にデンマークモダン家具デザインを革新したパイオニアです。そのシンプルで機能的なデザイン哲学は今日に至るまで、多くのデザイナーたちに影響を与えていますが、日本での知名度はいまひとつ。知られざる偉人ということから、展覧会名にもあえて<?>と付けたんです」と語る、カール・ハンセン&サンの郡司圭さん。

会場にはクリントのデザイン哲学が反映された名作椅子の中から、フォーボーチェアやサファリチェアなど4点が展示されていますが、とりわけ目を引いたのが、2024年に復刻されたイングリッシュチェア。

実はこの椅子、カール・ハンセン&サンが立ち上げた優れた家具職人の育成を目指した独自の見習工ワークショップ制度「THE LAB」にて、8週間もの時間をかけて見習い工たちがすべての工程を手がけているそう。

パネル展示では、家具デザインと職人文化を次世代につなぐ努力とその成果について紹介しています。

デンマークモダン家具デザインの過去から現在、未来へとつながるストーリー。百貨店の一角とは思えないほど、見応えのある展示でした。6月9日(月)まで開催中なので、ぜひ訪れてみてください。

「デザインの松屋」と言われる理由はここにあり

始まりは1955年にオープンした「デザインコレクション」

かねてから、北欧家具の輸入やグッドデザインの啓蒙にも力を入れてきた松屋銀座。その象徴が、1955年に日本デザインコミッティーと松屋が協働で立ち上げた「デザインコレクション」です。デザイングッズを中心に扱うセレクトショップとしては、日本では草分け的存在として知られています。

ロングライフデザインとしておなじみの白山陶器のG型醤油さし、秋田木工のスタッキングチェアも、元々はこの売場から誕生したもの。現在も4カ月に1度のペースで選定会を行い、ラインアップを常に見直しているそうです。新生活をスタートする人も多いこの時期は、デザイン性に優れた時計やバッグが多く並んでいました。

売場で取り扱う商品には、デザインに込められたストーリーをより理解してほしいとの想いを込めて、メンバーによる解説コメントがついています。それぞれのアイテムに宿る物語に想いを馳せながら、暮らしの名パートナーを探すひとときも楽しみのひとつです。

北欧モダンスタイルを松屋クルー自ら提案する「ザ・ホーム」

2022年にオープンした新しい家具とインテリアのショップ「ザ・ホーム」。カール・ハンセン&サン、カンディハウス、マルニ木工など北欧家具や国産家具を中心に、海外のトレンドも取り入れた空間演出を楽しめるのが魅力です。

最大の特徴は、松屋銀座の社員自らが商品をセレクトし、売場を作って接客をしていること。メーカーのスタッフが売場に立つことが多い昨今の百貨店の家具コーナーにおいて、こうしたスタイルは珍しいのだとか。「メーカーと百貨店が手を取り合って、お客さまの暮らしを豊かにしていこう。そんな松屋銀座らしさを最も体現した売場のひとつ言えるのかもしれません」(生活デザイン部バイヤー・蓑輪正太郎さん)。

なお、「ザ・ホーム」では、家具選びのプロフェッショナルである松屋クルーが家具ブランドのショールームを案内し、現場でのアテンドを行う「家具コンサルティングサービス」も実施しています。暮らしをともにする大切な家具を選ぶ際は、ぜひ頼りにしたいですね。

松屋銀座7階デザインコレクション/ザ・ホーム

建築家やデザイナー、スタイリストなど暮らしまわりのプロからも長年支持されている、松屋銀座7階のライフスタイル・リビングフロア。松屋クルーが常駐する「ザ・ホーム」に、1955年に日本デザインコミッティーと松屋が立ち上げたデザインのセレクトショップの草分け的存在「デザインコレクション」と、美しく豊かな暮らしを提案するショップが軒を連ねます。

【開催イベント】
◆展覧会「コーア・クリント?ーデンマーク家具デザインのはじまりー」
会期:2025年4月16日(水)ー6月9日(月)※最終日午後5時閉場
会場:松屋銀座7階デザインギャラリー1953

PHOTO/MASAHIRO SHIMAZAKI TEXT/NAOKO OGAWA