銀座で営みを続ける「名店の若旦那・若女将」にナビゲーターとして登場していただき、銀座の街の魅力から長年紡いできたお店の歴史をインタビュー。若旦那・若女将がつながるお店・場所などもお聞きしたので、銀座街歩きも楽しんでみたい。第1回は、伝統を大切にしながら時代の変化に合わせたアップデートを続ける「銀座 松﨑煎餅」の8代目・松﨑宗平さんにお話をお伺いします

若旦那

銀座 松﨑煎餅
8代目
松﨑宗平さん

PROFILE

1978年、銀座生まれ。グラフィック・WEB デザインを行なう IT企業での勤務を経て、2007年に株式会社 松崎商店入社、2018年代表取締役に就任。2021年に本店を現在の場所に移転。バンドoysmのベーシストとしても活動中
Instagram:@soooheeey

“地域の交流の場”をテーマに、新しいスタイルの煎餅屋へ

3代目から受け継いだ瓦煎餅を時代に合わせて一新!

煌めくブルーのネオンや松の紋を染めた紫色(ふじいろ)の大暖簾が目を引く、歌舞伎座のそばに構える「MATSUZAKI SHOTEN」。江戸幕末下の文化元年(1804年)に創業した「銀座 松﨑煎餅」の本店です。

約220年前、港区の芝魚籃坂で瓦煎餅・焼き菓子の店を開業したのが始まり。1865年に3代目・松﨑宗八氏によって銀座に移転し、店名を「銀座 松﨑煎餅」に。「それから約150年、銀座の街とともに歩んできました」と語るのは、2019年に父である宗仁さんからバトンを受け継いだ8代目の松﨑宗平さん。

29歳で家業に入り、煎餅屋としての未来に危機感を感じた松﨑さん。ギフト需要に合わせたパッケージデザインのリニューアルやオリジナル商品の開発など、前職の経験やスキルを活かしブランドイメージを一新。2021年に、本店を銀座5丁目から4丁目(東銀座)に移し、煎餅の販売をメインにイートインも始めました。

看板商品は、 卵を贅沢に使ったサクッと食感と優しい味わいが特徴の 瓦煎餅「大江戸松﨑 三味胴(しゃみどう)」。三味線の胴に似ていることから名づけられたそう。職人が色とりどりの砂糖蜜を使用し、四季折々の花鳥風月を織り交ぜた絵柄を一枚一枚丁寧に描いています。

「ルーツ的な商品でありながら、売り上げは全体の3~4%程度でした。そこで、私を含めたスタッフで遊び心あるデザインを施したり、ブランドさんとのコラボレーションや百貨店さんとの限定商品を精力的に開発・販売。今では約200種類に及び、売上の40%程度を占めるまでになっています」

四季折々な江戸の風刺を花鳥風月に織り交ぜて描いた季節感豊かな詰め合わせ「大江戸松﨑  暦」のほか、季節限定商品や月替りの絵柄など、訪れるたび新商品に出会えます。

「先代からは、跡継ぎの話や経営の指南など一切なかったんです。ただ、『煎餅屋にとどまらなくていい』という祖父の思いを受け、本店の移転と同時に屋号を『MATSUZAKI SHOTEN』にしました」

「うちの代表格は、やっぱり瓦煎餅。明治初頭の大火、関東大震災、第二次世界大戦時と3度にわたって店が全焼しながらも、銀座の地で守り続けてきた商品を絶やすことはできません。祖母からは、『店に立っているか?』とよく声をかけられていました。代々商人の家系として接客の大切さを再認識。新しいスタイルの店「MATSUZAKI SHOTEN」を作ろう、というきっかけにもなりました」

誕生から10歳頃まで銀座で過ごしていた松﨑さんにとって銀座の街は遊び場。そのひとつが、「松屋銀座」のおもちゃ売り場だったそう。

「販売員のお姉さんたちにも遊んでもらったお気に入りの場所でした。祖父は『上野精養軒』の松花堂弁当が好きで、時々連れて行ってもらったことを覚えています」 

「銀座の魅力は、銀座想いの商売人が多いこと。銀座の商店や会社を経営する方々と交流をもちつつ、祭りやイベントの運営、ボランティア活動など精力的に行っています」

銀座のサードプレイスとして街の発展に貢献していきたいとの思いから、“地域の交流の場”をテーマに開業した「MATSUZAKI SHOTEN」。イートインスペースでは、オリジナルの煎餅スイーツも味わえます。

「一番人気は、柔らかく焼き上げた瓦煎餅に、パステルカラーの白玉、生クリーム、『ぎんざ空也 空いろ』さんの粒餡をトッピングした「松﨑ろうる」。隠し味のクリームチーズの酸味と塩気がプラスし、幅広い世代に好評いただいています」

ワンハンドで楽しめる「松﨑ろうる」は、街歩きのスイーツとしてもおすすめです。

若旦那・松﨑宗平さんとつながる銀座さんぽ

「東と西側で街の表情ががらりと変わるのが銀座の特徴。味や品質へのクオリティはもちろん、居心地のよさが引き付けられる理由。仕事の合間のランチ、お酒を片手に仲間と語り合う夕食など、気分や用途に合わせてチョイスしています」

100年以上の継ぎ足しのタレで味わう「竹葉亭」のうな丼

夏目漱石をはじめとする文豪も愛した江戸時代末期創業のうなぎ料理店。大正14(1925)年より銀座8丁目で営業する「竹葉亭 本店」では、備長炭で外はカリっと香ばしく、中はふっくら焼き上げた江戸前のうなぎの蒲焼を100年以上継ぎ足しのあっさりとした味わいのタレでいただきます。

「初めて食べた時の味やお店の雰囲気は忘れられません。うなぎを食べたくなったときにふらっとお邪魔したり、会食でも使わせていただいています。うなぎはもちろん、胡麻豆腐と鯛茶漬けも絶品です」

〈うなぎ〉竹葉亭 本店(ちくようてい ほんてん)

TEL.03(3542)0789
住所/東京都中央区銀座8-14-7
営業時間/午前11時30分~午後2時30分、午後4時30分~午後8時
定休日/日・祝・年末年始
アクセス/東銀座駅より徒歩5分
竹葉亭 Instagram

カレーはもちろん、チーズクルチャも絶品の「グルガオン」

インド出身のシェフが、カレーを中心にタンドール料理やスパイス炒めなど北インド料理でもてなす人気店。ココナッツミルクベースのカレー「海老のガーリックレモンバター」は、ガーリックとレモンの風味が食欲を掻き立てます。

「カレー好きの自分が、バランスの良い日本人が好きなインドカレーを食べたいときに伺う1軒。スパイスを効かせたカレーはどれもおいしいですが、チーズがたっぷり入った『チーズクルチャ』は欠かせません! ランチタイムなどは行列ができる時間を外して伺っています」

〈北インド料理〉グルガオン

TEL.03(3563)0623
住所/東京都中央区銀座1-6-13 106銀座ビルB1
営業時間/午前11時30分~午後3時、午後5時~午後10時(土・日・祝)午前11時30分~午後4時、午後5時~午後9時30分
定休日/なし
アクセス/銀座一丁目駅より徒歩2分
グルガオンHP

今回訪ねた老舗

MATSUZAKI SHOTEN (銀座 松﨑煎餅 本店)

TEL.03(6264)6703
住所/東京都中央区銀座4-13-8岩崎ビル1F
営業時間/午前10時~午後7時
定休日/なし(年末年始除く)
アクセス/東銀座駅よりすぐ
MATSUZAKI SHOTEN HP

◆銀座 松﨑煎餅 松屋銀座店
住所/東京都中央区銀座3-6-1 松屋銀座B1和菓子
電話番号/03(3567)1211〈松屋銀座代表〉
営業時間/午前11:00〜午後8:00 日・連休最終日〜午後7:30
定休日/松屋銀座店休日に準ずる
交通アクセス/東京メトロ銀座線「銀座駅」より徒歩1分

PHOTO/MANABU SANO,KAZUHITO MIURA TEXT/NAOMI TERAKAWA