「高知県の防災グルメ×フェーズフリー」の後編では、フェーズフリーな食品の取り入れ方や楽しむコツを、松屋銀座の食品コーディネイター・藤本紀久子さんにインタビュー。缶詰を使用した「もしも」と「いつも」のレシピも教えてもらいました。2025年6月25日(水)からは、松屋オンラインショップの「高知県で生まれた美味しいグルメ」内で今回レシピ内で使用した「高知の防災グルメ」の販売スタートしたのでチェックしてみて。 >>【前編】ドライフーズ・レシピ6はこちら

フェーズフリー・レシピ監修
松屋 MD戦略室 食品コーディネイター
藤本紀久子さん
PROFILE
フランス料理研究家・上野万梨子氏に師事し、1983年にフードコーディネーターとして独立。現在は2002年に設立した、食品の商品開発や店舗デザインコンサルティングを行う「スタジオカルティベイト」の代表を務めながら、松屋銀座の食品売り場、レストランフロアのディレクションを行う
高知県の防災グルメを日常に取り入れて、フェーズフリーな食生活を実践!
普段食にも防災食にもなる食品を日常的にストック
いつ起こるかわからない災害に備えて、常備しておきたい防災食品。とはいえ、ストック場所に困ったり、いつの間にか賞味期限が切れてしまったり。なかなか備蓄が進まないことも多いのではないでしょうか。
そこで取り入れたいのが、「備えない防災」とも呼ばれるフェーズフリーな食生活です。「日常食にもなる防災食品」「防災食にもなる日常食品」を日頃から活用することで、無理なく備えられて、非常時の安心感も高まります。

では、フェーズフリーな食生活に向く食品とは具体的にどんなものなのでしょう。松屋銀座で食品コーディネイターを務める藤本紀久子さんに聞きました。

「基本は常温で長期の保存が効くもの。日本の食卓でなじみのあるものですと、海藻類や豆類をはじめとする乾物、パスタやそばと言った乾麺などがあります。ただ、非常時を考えると、そのまま食べられるものや、火を使わなくても調理できるものがおすすめ。近頃増えている、缶詰、乾燥野菜・果物、ジャーキー、お菓子など、普段使いにもぴったりな防災食品は日常的なストックにおすすめです」
常備しておきたいフェーズフリー食品
・常温でも食べられる缶詰
・海藻、豆、野菜、果物などの乾燥食材
・ジャーキーなど、そのまま食べられる乾きもの
・長期保存の効くお菓子
乾燥野菜や缶詰は料理の食材に
普段の食事にも利用できるという防災食品。どんな楽しみ方ができるのでしょうか。
「乾燥食材は加熱しないと食べられないものがありますが、乾燥野菜や果物は『漬けて戻す』というひと手間でバリエーションが広がります。乾燥野菜なら、甘酢に1日程度漬けておくだけでピクルスに。そのまま食べられるのはもちろん、料理の食材として使うこともできます。
おかずとして完成している缶詰は、ほかの食材と組み合わせたり、温めたりすると、ひと味違うおいしさに。味がしっかりついているので、味付けが不要なもの魅力です」



お気に入りの調味料などで自分好みの味わいに
フェーズフリーな食生活をもっと充実させるなら、「塩やコショウ、醤油など定番だけでなく、好みの調味料も日常的にストックを」と、藤本さんは話します。
「非常時は停電の可能性もあるので、常温で保存できるものがおすすめです。仕上げにバルサミコ酢、オリーブオイルをかければ風味が増しますし、エスニック好きな方は、コリアンダーやクミンなどのスパイスを常備しておくのもいいですね。食事の途中で加えて、味変するのも楽しいです。非常時は食欲がなくなったり、疲れがたまったりすることもあると思うので、甘酢の代用に市販のらっきょう酢などを常備しておくのもいいでしょう。
普段の食事でしたら、塩麹、醤油麹など要冷蔵の調味料もぜひ活用を。完成した料理に好みの味をちょっと添えるだけで、食が豊かになります」
フェーズフリーな食生活を楽しむコツ
・「漬けて戻す」など、加熱しない調理法を取り入れる
・調理済みの缶詰は、その味付けを活かして料理する
・常温でストックできる調味料、ソースなどを常備しておく
・日常生活では要冷蔵の調味料やソースなども活用
RECIPE■「もしも」と「いつも」のフェーズフリー・レシピ_缶詰編
保存食の代表格ともいえる缶詰。近年はおかずとして満足できる商品のバリエーションが増えました。「高知県の防災グルメ」にも、こだわりの缶詰がラインナップしています。
「地鶏やカツオなど高知県産の素材が盛り込まれ、料理としての完成度も高いのですが、食材としても優秀。素材のうまみがぎゅっと詰まったオイルやたれが調味料やソースの役目をしてくれて、手軽に調理できるのに味わいに深みが増します」。今回は、全7種揃う高知県防災グルメの缶詰のなかから、3種の缶詰をピックアップ。「もしも」と「いつも」のレシピを紹介します。
「高知の防災グルメ」とは?
非常時も日常も安心して食べられる高知県の防災グルメ

「防災先進県」の高知県では、県内のさまざまな企業が開発した多彩な防災グッズが生まれています。防災食品はそのひとつで、缶詰、乾燥野菜・果物のほか、長期保存が可能なご当地お菓子のミレービスケット、非常食用の豆腐ジャーキーも展開。アレルギー対応、動物性原料不使用など、子どもからお年寄りまで、非常時でも幅広い層の人々が安心して口にできる食品を揃えます。6月25日(水)にスタートした「高知で生まれた美味しいグルメ」内でも紹介しています。
Canned goods1~「トマトで煮込んだカツオとキノコ」の缶詰

一本釣りカツオと黒潮町産のぶなしめじをトマトで煮込んだ優しい味わいが特徴。野菜との相性がよく、常温で使っても、温めても美味。アレンジのしやすい缶詰です。
【もしも】パンツァネッラ

【いつも】カツオとトマトのキャベツ巻き

硬くなったバゲットを活用できる野菜たっぷりのサラダ。缶詰のカツオ&ぶなしめじのうまみが染み渡ったトマトソースがおいしさの決め手
■材料(2人分)
「トマトで煮込んだカツオとキノコ」の缶詰 1缶
バゲット(厚さ2cmのスライス) 2~3枚
きゅうり 1/2本
トマト 1/2個
オリーブオイル 小さじ2
バルサミコ酢 小さじ1~2
■作り方
(1)バゲット、きゅうり、トマトを1cm角ほどの大きさにカットして和える
(2) (1)に「トマトで煮込んだカツオとキノコ」を加えてさらに和え、オリーブオイルとバルサミコ酢を入れて味を馴染ませ、盛り付ける
(3)お好みでハーブ類(イタリアンパセリ)を添える
「トマトで煮込んだカツオとキノコ」の缶詰を、生のキャベツにのせてレンジ加熱するだけ。半熟卵を添えて、ボリュームをアップ!
■材料(1人分)
「トマトで煮込んだカツオとキノコ」の缶詰 1缶
キャベツ 1枚
卵 1個
オリーブオイル 小さじ1
■作り方
(1)卵を水から8~9分茹で、半熟卵を作る
(2)キャベツの葉の芯の部分を少し削いでから耐熱皿に敷く
(3)(2)の上に「トマトで煮込んだカツオとキノコ」を缶汁ごとのせ、ラップをかけて電子レンジで2分(600W)加熱する
(4)(3)に半分に切った半熟卵を添え、オリーブオイルを回しかけ、お好みでブラックペッパーをかける
Canned goods2~「お魚のパテ グリーンペッパージュレ」の缶詰

土佐湾の新鮮な魚と野菜で作ったパテはなめらかな舌触り。ココナッツの風味とグリーンペッパーのスパイシーさが心地いいアクセントに。
【もしも】フィッシュパテのサンドイッチ

【いつも】フィッシュパテのクリーミーポテトサラダ

魚と野菜のうまみを閉じ込めたパテのおいしさがそのまま味わえるサンドイッチ。ピクルスとチーズで、異なる食感と風味を加えました
■材料(2人分)※写真は1人分
「お魚のパテ グリーンペッパージュレ」の缶詰 1缶
ホットドッグ型のパン(コッペパン、フランスパンなど) 2本
ガ―キン(ミニきゅうり)のピクルス 2~3本
ゴーダチーズなど好みのチーズ
■作り方
(1) ホットドッグ型パンを横切り(腹切り)にし、上下に分ける(2)下半分パンの片面に「お魚のパテ グリーンペッパージュレ」のパテとジュレたっぷりのせる(1人分で缶詰約半分)
(3) (2)の上にスライスしたガ―キンのピクルスを並べの上にチーズを削ったあと、上半分のパンをのせる
パテを茹でたじゃがいもとクリームチーズに合わせたポテトサラダは、とってもクリーミー 。魚と相性のいいシェリービネガーを加えて大人味に
■材料(2~3人分)
「お魚のパテ グリーンペッパージュレ」の缶詰 1缶
じゃがいも 大2個
クリームチーズ 大さじ2~3
シェリービネガー(または米酢) 小さじ2
■作り方
(1)じゃがいもを皮ごと弱めの中火で、竹串を刺してスッと通るまで茹でる
(2)(1)が熱いうちに皮をむき、フォークなどで潰して、人肌に冷ます
(3)(2)に「お魚のパテ グリーンペッパージュレ」とクリームチーズを加えて、均一になるまでよく混ぜる
(4)(3)にシェリービネガーを加えて味を整える
(5)お好みでローズペッパーをのせて、野菜(ベビーリーフ、ミニトマト)を添える
Canned goods3~「土佐はちきん地鶏 ゆず塩仕立て」の缶詰

高知県だけで生産されるシャモ系統の特産鶏・土佐はちきん地鶏を焼き鳥風に仕上げた缶詰。県産の柚子こしょうの風味がコク豊かな地鶏のうまみを引き立てます。
【もしも】はちきん地鶏と甘酢生姜の手巻きごはん

【いつも】はちきん地鶏のオムレツ

海苔で包んで簡単手巻き風! 甘酢生姜の甘みと酸味が、缶詰のたれがなじんだごはんと地鶏のおいしさを高めます
■材料(2人分)※写真は1人分
「土佐はちきん地鶏 ゆず塩仕立て」の缶詰 1缶
ごはん 茶碗2杯程度
甘酢生姜スライス 10枚程度
海苔(4つ切) 4枚
■作り方
(1)あたたかいごはんに「土佐はちきん地鶏 ゆず塩仕立て」を加えてよく混ぜる
(2)(1)に、みじん切りにした甘酢生姜を加えてさらに混ぜる
(3)(2)を海苔で包む
シンプルな材料で気軽に作れる簡単オープンオムレツ。調理中に、缶詰に詰まったコクのあるたれが染みわたっていくので味付けいらずです
■材料(1人分)
「土佐はちきん地鶏 ゆず塩仕立て」の缶詰 1缶
卵 2個
オリーブオイル 大さじ1
■作り方
(1)オリーブオイルを入れたフライパンをよく熱し、溶いた卵を流し込み、半熟程度になるまで火を通す
(2)(1)の上に「土佐はちきん地鶏 ゆず塩仕立て」をのせ、ゼラチン質で一塊になった地鶏をほぐしながら火を通す
(3)卵の縁が少し固まってきたら、上下を折り返して火を止める
(4)(3)を皿に盛り付け、お好みで野菜(ベビーリーフ、ミニトマト)を添える
料理に使った「高知県の防災グルメ」はこちら
高知の恵みフルコース9缶セット「洋」/黒潮町缶詰製作所

高知県西部の海辺の町・黒潮町で、非常食でも日常食としても満足できる缶詰の可能性を追求する黒潮町缶詰製作所。松屋銀座オンラインストア限定セットのこちらの商品には、レシピで使った3種など計6種のおかず系缶詰と、鰹と海鮮がたっぷりの玄米パエリアの缶詰を詰め合わせ。いずれの缶詰も8大アレルゲン不使用 (特定原材料8品目)です。
【+アイデア】どの缶詰も普段の食事に馴染むバランスのいい味付け。味変するなら、うまみのある酸味には醸造酢(米酢やワインビネガー)などを、爽やかな辛味にはブラックペッパー、柚子こしょう、タバスコなど、ほんのり塩味には海塩、醤油などで
2025年6月25日(水)から販売開始! 「高知県で生まれた美味しいグルメ」

メイドイン高知の防災グルメに注目を
松屋オンラインショップでは、自然に恵まれた土地で生まれた食材で作られた「高知県で生まれた美味しいグルメ」がスタート。藁焼きカツオや四万十ウナギから、グルメ缶詰、ご当地菓子の芋けんぴやミレービスケット、乾燥野菜・フルーツまで充実のラインナップ。今回のフェーズフリーのレシピで使った、「高知県防災関連登録製品」認定のドライフードや缶詰も販売されるので、チェックしてみよう。
PHOTO/MICHI MURAKAMI TEXT/MIE NAKAMURA