松屋銀座のある中央区銀座は、ショップや飲食店がひしめき合うにぎやかエリア。お買い物や街歩きを楽しむ人が毎日多く訪れます。松屋銀座は開店100周年を迎え、自分たちが働く街への感謝を込めて、チーム対抗で「GINZAのゴミ拾いカップ」を2025年5月3日(祝・土)に開催しました。
2024年に発足した「銀座ゴミ拾い部」が主催
自分たちが商いをする街が少しでも美しく、誰もが心地よく感じられる街となるように——。社内の有志が集まって「銀座ゴミ拾い部(以下、ゴミ拾い部)」が結成されたのは2024年のことです。立ち上げの経緯を事務局の江藤さんに伺いました。
「もともと“銀座はきれいな街”という印象を持っていましたが、『会社の周りをよりきれいにしたい』、『きれいな街にして、より多くのお客さまに集まっていただきたい』という思いがありました。また掃除をすることで自分自身の心や体も整う感覚があり、同じような気持ちを共有する方々が自然と集まり、社内クラブとなりました」(事務局・江藤さん)

日頃から松屋銀座周辺のゴミ拾い清掃を行ってきた「ゴミ拾い部」ですが、100周年のアニバーサリーウィーク特別企画として「GINZAゴミ拾いカップ」を企画。社内の各部署からチームを選出し、制限時間内で銀座の街をめぐり、どれくらいの量のゴミを収集するかを競うものです。ゴミの量が一番多かったチームには優勝として、ギフト券が贈呈されます。
100周年の特別企画としての実施について、同じくゴミ拾い部の長砂さんは以下のように話します。
「銀座の街には、美観を維持するため、商いをする人々が協力し合うという素晴らしい慣習があります。『街』に関わる企業として、先人方の積み重ねを継承し、後世につないでいく役割を果たしたいと考えています。
100周年という節目にあたって、100年商売させていただいた『街』へ、感謝を込めて、このイベントの企画に取り組みました。ちょうど新年度を迎え、人事異動や新しく入社してきた仲間が加わったタイミングです。部署内やクルー間の絆を深める機会となり、この活動を通して、みんなで100周年のアニバーサリーを盛り上げていければと思っています」(長砂さん)
「GINZAゴミ拾いカップ」に潜入!実際の活動をレポート!
イベント当日の5月3日は穏やかな快晴。集合場所の松屋銀座東館2階にある「コムステーション(社員食堂)」では、すでにゴミ拾い部の皆さんが入口横で道具をスタンバイ。8時50分の集合時間に合わせて、13の部署の選抜メンバーが続々と集まってきました。

9時、長砂さんのあいさつからイベント開始。イベントの詳細とルール説明が行われました。ルールとは、競技時間は30分、エリアは外堀通りから昭和通りまでの銀座三丁目内で、道具は支給された物のみ使用するというもの。また「必ず3人1組で行動」、「勝利にこだわりすぎない」など、細かな注意点もありました。

スタートは東館と北館の間の通路とし、ゴールと計測は東館1階のゴミ集積所で行う旨も説明されました。そして、全員で社用スマホのタイマーを30分にセット。スタート地点まで移動し、みんなのカウントダウンで競技がスタートしました。

顧客販促部チームに密着!ゴミで前日の天候が分かる!?
ゴミ拾いの様子は「顧客販促部チーム(以下、販促部チーム)」に密着しました。

トングでゴミを拾うのは小田さんと河合さん。ゴミ袋を手に持ち回収を担当するのが茂登山(もとやま)さんという布陣です。スタート直後、「反対側(松屋通り側)に向かうチームが多かったので、みんなが行かない方に」(河合さん)と、銀座マロニエ通り方向に向かいました。


歩道や街路樹の植え込みに落ちているタバコの吸い殻、紙ゴミ、マスクなどを、次々と回収していきます。銀座三原通りに入り、「こんなところにもある!」、「これはなんだ?」という声が飛び交うなか、3人の動きにも特徴が。小田さんは先陣を切って進み、建物と建物の隙間などをよく確認しています。一方、河合さんは植え込みや足元の吸い殻をしっかり回収していました。ゴミ袋を持つ茂登山さんは、「小田さん、その壁際にも吸い殻がある!」、「河合さん、この足元のレシートを取ってくれるかな?」と後方から声掛けをしていました。3人の息もピッタリと合い、開始早々からゴミ袋が膨れてきます。

松屋通りを昭和通りへ向かう途中、ビニールが骨から外れた傘を発見。前日、東京は暴風雨だったため、この後、ラーメン店横の自動販売機の裏側にも傘が捨てられていました。さらに街路樹の折れた枝も転がっていて、すれ違う他のチームのメンバーも大きな枝を手に持っていました。

昭和通りに出ると、電話ボックスの横に隠すようにチェーン店の牛丼の容器と、中身が入っている缶チューハイが。また、コンビニの横には大量のコーヒーの空き缶が室外機の傍らに置かれていました。

途中、他のチームと談笑する場面も。「吸い殻が本当に多い!」という感想が聞かれました。また、「(販促部チームのゴミの量を見て)うちのチームは負けるかもしれない……」といった声もありました。


松屋銀座の正面にあたる銀座通りに入ると、多くのチームがゴミ拾いをした後だったため、目立つゴミはありません。しかし、「これ、うちのレシートじゃない?」と、前日の雨で歩道にへばりついた松屋銀座のレシートを見つけ、こそげ取りました。

無事、時間内に東館のゴミ集積所にゴール。「手に持ったゴミは計測しません!」とのアナウンスに、慌ててゴミ袋に傘や枝を入れて計測の列に並びました。別のチームでは車のホイールのようなものを回収しているところもありました。


なじみの街もゴミ拾いすることで見えてくるものがある
最後に、販促部チームの皆さんに、ゴミ拾いを終えた感想を伺いました。

「いつも通っている道ですが、思った以上にゴミが多く、普段は気づかないようなものがたくさん落ちていた印象です。これからはゴミを気にしながら、なるべく拾いながら出勤したいと思います」(小田さん)
「隠すようにゴミが捨てられている場所も多く、本当はいけないと分かっていながら捨てていると思うと、残念な気持ちになりました。今後もこのようなゴミ拾いの機会があったら、積極的に参加したいですし、普段、街の清掃をしてくださる方にもっと感謝したいですね」(河合さん)
「思った以上にゴミが多く捨てられていて、意外と街が汚れていることに驚きました。『東京はとてもきれいな街』と、外国の方の言葉を耳にしていましたが、そうとも言えない部分もあると思いました。ポイ捨てしないのは当然として、自分も公共の美化に寄与していきたいと思いました。」(茂登山さん)

うらがわ 編集後記

さて、対抗戦の結果は……。「個人外商部」チームが3.22kgで優勝。密着していた「顧客販促部」チームは2.00kgで13チーム中第5位となりました。優勝チームは後日、朝礼で表彰され、代表して吉武さんがコメント。「優勝できてよかったです。部門から優勝しろ!とプレッシャーがありましたから(笑)。銀座の街に貢献したい。銀座の街をきれいにしたい。その気持ちを忘れずに引き続きお客様の為に業務遂行をしてまいります。ありがとうございました」と喜びを語りました。部門を越えて盛り上がった今回の対抗戦は、ごみへの意識向上はもちろん、社員同士の交流やチームワークの強化にもつながる、有意義な機会となったのではないでしょうか。
PHOTO/AYUMI OOSAKI TEXT/CHIHIRO BETCHAKU