2025年4月29日(祝・火)ー­5月13日(火)(最終日午後5時閉場)に、北欧デザインの家具や雑貨、日本のクラフトなどを集めて、今の暮らしにフィットする空間を提案する「Life with Design & Crafts」が開催。そこで、すでに北欧のビンテージ家具や器、日本の民藝などを取り入れた素敵な暮らしを実践しているモデルの高山都さんに北欧デザインや民藝に囲まれた空間についてお伺いしました。

INTERVIEW

モデル
高山都さん

PROFILE

1982年生まれ、大阪府出身。19歳でモデル業を開始し、雑誌や広告等で活躍。執筆やブランドディレクションにも才能を発揮。民藝や職人・作家ものを集めた松屋銀座の「銀座・手仕事直売所」のアンバサダーを2021年より務める。近著にエッセイ本『高山都、もの語り ひとりごと、ふたりごと』(宝島社)。海外の蚤の市や国内の民藝など工房巡りが好き
Instagram:@miyare38

北欧デザインと民藝、高山都さん流”好きなモノ”に囲まれて暮らすこと

お部屋作りのテーマは“ミックス”です

築50年のビンテージマンションのリビングには、大きな楕円の北欧デザインのダイニングテーブルと、座面がハート型に見える3本脚の椅子。窓際にはこのお部屋の象徴ともいえるハンス J. ウェグナーのグリーンのチェアが置かれ、ガラス棚にはグラス類が、チェストにはヨーロッパのビンテージ食器が飾られています。こちらが、高山さんの “好きなモノ”を何年もかけて集めて作り上げたお気に入りの空間。

「海外や日本などいろいろな文化に触れていくうちに、ひとつの文化にこだわらず、いろいろなカルチャーをミックスするのって面白いなと思って…。この部屋はミックスがテーマななんです」と開口一番に高山さんは言います。

「古いモノと新しいモノ、日本のモノと海外のモノなどが混ざったとき、自分だけのバランスで作り上げた空間ができます。そこにあるライブ感が好きなんです」

北欧デザインの家具やビンテージの器と、日本の民藝である器や木の工芸品などが見事にマッチした、高山さんならではのお部屋は居心地がいい。

「北欧デザインや民藝のアイテムは使い続けることで経年劣化していく美しさもあり、それが愛着を育み、自分の暮らしになじんで行きます。こういうモノたちに囲まれて過ごす時間はとても満たされるので私は家時間が大好きですごく気持ちが豊かになります」

アイテム一つひとつにストーリーがもあって、さらに愛着が深まるんです。いつ、どこで買ったのか、どんな人が作ったのかなど、どのアイテムも話せます。だからこそ一生付き合いたい、モノの命があるなら全うさせてあげたいと思うし、そんなモノたちに囲まれる暮らしは幸せですね」

高山さんの好きな北欧デザインや民藝に共通するのは“用の美”

高山さんが民藝に興味をもったのは今から10年前くらいのこと。それは東京で出会った山陰の作家さんの器だったとか。

「山陰といえば、民藝運動の創始者である柳宗悦(やなぎむねよし)さんのゆかりの地。陶器や染色、木工、漆器など、日常生活で使われる手仕事の道具や工芸品である民藝には、“用の美”が宿り、美しいから飾って使わないのではなく、使うモノは綺麗であってほしい、使うのは自分が好きなモノで、かつ美しいモノであってほしいと、私なりに民藝の意味をそう理解すると、親近感が沸き、どんどん興味が深まっていきました」

それから民藝好き、器好きが加速し、旅先でも器を見て回るのが楽しみのひとつになったそうです。

旅好きとしても知られる高山さんは、ヨーロッパへもよく出かけます。ある時、蚤の市を巡ってビンテージの器を見ているうちに、日本の民藝だけでなく、ヨーロッパの器や北欧の家具のデザインや質感などにも魅力を感じ始めたそう。

「日本の民藝も北欧のデザインにも共通するのが“用の美”。実用性とモノの美しさが一体になっていて、クラフト感があるのが好きなんです。こういう共通点があるからこそ、北欧デザインと民藝は相性がよく合わせてもいいのでは?思いました。そこで土感のあるモノ同士、ぼってりとしたフォルム同士など、トーンを寄せながらミックスする器合わせから始めたんです」

Life with Design & Crafts」の商品をお披露目。北欧×民藝のミックスコーデにも挑戦

4月29日(祝・火)―5月13日(火)に開催される、開店100周年を記念したイベント「Life with Design & Crafts」。こちらで販売される商品を使って高山さんに、北欧デザインと民藝のミックスコーディネートを提案していただきました。使った商品はカイ・フランクのピッチャーとタンブラー(ビンテージ)、てつ工房のお皿たち。雰囲気も素材も異なるアイテムだけれど、高山さんの手にかかれば、とても素敵な食卓に。

洋服を選ぶ感覚で、色や素材を考えてコーディネート

北欧デザインの名作のひとつ、カイ・フランクの色鮮やかなガラス製品と、民藝のぬくもりあるてつ工房の土モノのお皿。これらをメインにコーディネートするポイントを3つ教えてもらいました。

「ひとつ目は、素材も雰囲気も違う器を合わせるときは、つなぎになる色や素材のモノを取り入れて全体のトーンを合わせること。今回はブドウが盛られた青い益子焼を加えて、カイ・フランクのピッチャーの青と、てつ工房の陶器(土モノ)をつないでいます。

2つ目は、メインのガラス、土モノではない異素材のモノを加えること。洋服でいうとアクセサリーを追加する感覚ですね。ステンレスのトレーや木製の台などを入れることで全体バランスを整えます。

3つ目は、濃淡をつけた色使いでメリハリをつけること。てつ工房のお皿は中央に描かれた動物の絵がポイント。それを引き立たせるために、同じトーンの鳥取の牧谷釜の小皿と、濃い茶色のアラビアの小さなピッチャーを加えてメリハリをつけてコーディネートを引き締めます」

「Life with Design & Crafts」で出店されるお店&商品の一部をご紹介!

島根県雲南市/白磁工房

へらなどで土を削って模様を作るしのぎでや面取りを施した白磁の器がこの工房の特徴。「白磁は他の器とも合わせやすく、私はヨーロッパのアンティーク食器や民藝の絵付け皿などと合わせてメリハリをつけています」(高山さん)

島根県出雲市/出西窯

地元・島根の土や自家調合の釉薬などを使った、職人の手仕事による暮らしの器。「民藝初心者のエントリーとして、シンプルなマグカップはおすすめ。白と紺なので白いTシャツとデニムみたいな感覚で日常使いしやすいですね」(高山さん)

長崎県長崎市/てつ工房

小島鉄平さんのスリップウェアの技法を使った器は、手書きの絵が印象的。「この絵は粘土と水を混ぜた化粧土を垂らして描いていて、それが乾かないように数分で描き上げていながら、繊細で鋭いラインにクラフトマンシップを感じます」(高山さん)

岐阜県高山市/安土草多

表面の揺らぎや、穏やかな歪みが美しい、手仕事が活かされた吹きガラスの作品。「よく見ると、少しずつ風合いの違うグラスで、2つと同じモノがないというところがいいですね。手によくなじむ感じもいいです」(高山さん)

フィンランド/カイ・フランク

日常的に使うシンプルで機能的なグラスを追求して1950年代にカイ・フランクがデザインした、フィンランド最古のガラス工場・ヌータヤルヴィで造られたビンテージのガラス器。青、緑、黄緑など絶妙なカラーバリエーションがあり、日々の食卓を鮮やかに彩ります。

神奈川県大磯町/さかまのぶこ

ヒンメリとはフィンランドの麦わら細工。作家のさかまのぶこさんは、自ら育てたライ麦を素材に日々感じる自然をイメージしたヒンメリを制作。光に照らされて生れる幾何学の影も幻想的で、天井や壁に吊るしてお楽しみを。会場では、ワークショップのほか、さかまさんの作品も展示販売されます。

4月29日から15日間限定で「Life with Design & Crafts」を初開催

暮らしを豊かにする北欧デザインと民藝アイテムが大集合

銀座店開店100周年の節目に、北欧デザインと民藝のクラフトを掛け合わせた豊かな暮らしを提案するイベントを開催。“機能美”や“用の美”、“クラフトマンシップ”など共通点の多い北欧デザインと民藝の魅力を物販やワークショップ、イベントなどで体感できます。
■出店店舗
【クラフト/民藝】出西窯 (陶器)/白磁工房 (磁器)/安土草多(硝子)/出西織 多々納工房 (染織物)  /てつ工房 小島鐵平 (陶器)/須浪亨商店 (いかご)/祝凧高橋 (民藝玩具)/鍛冶工房弘光 (鍛冶)
【デザイン/北欧】さかまのぶこ (ヒンメリ、ワークショップ)/ELEPHANT(北欧ビンテージ)/シツラエル (北欧ビンテージ家具)

Life with Design & Crafts
会期:2025年4月29日(祝・火)―5月13日(火) 午前11時ー午後8時※最終日午後5時閉場
会場:松屋銀座7階ザ・ホーム/おりふしギャラリー
入場料:無料  ※ワークショップ参加費用・物販の購入にかかる費用は別途必要になります
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※古物営業法に基づく表示 株式会社松屋 東京都公安委員会許可 第301066105048号

PHOTO/MASAHIRO SHIMAZAKI TEXT/MIE MINEZAWA