松屋銀座の開店100周年を記念して、4月9日(水)-15日(火)に地下1階弁当・惣菜、食品催場、地下2階の食品フロアに肉グルメが集結して「松屋のニク活 in GINZA」を開催します。目玉となる大手牛丼チェーン店〈松屋〉とのコラボは6年の年月を経てようやく実現。その紆余曲折を松屋銀座・食品部の田中翔さんと、松屋フーズ・商品開発部の熊谷雄樹さんにお聞きしました

銀座クオリティを具現化!こだわりの詰まった特別な牛めしが誕生

遊び心から生まれたダブル松屋のコラボ企画

今から6年前の2019年。この年、松屋は横浜の地に鶴屋呉服店として創業して150周年を迎える節目の年でした。それに際して上がったのが、“百貨店の松屋”と “牛めしの松屋フーズ”のコラボ企画だったそうです。
「松屋に就職すると、必ずといっていいほど、言われるんですよね。どっちの松屋だ、と。それを逆手にとって松屋フーズさんと“松屋”同士、いっそ手を組んだらおもしろいのでは、ということで始まりました」と田中さん。

ところが翌年、新型コロナウィルスの蔓延によりいったん白紙に。その後、コロナ禍が落ち着くと、今度は2025年に松屋銀座開店100周年を迎えることになりました。このタイミングでダブル松屋のコラボ企画を復活させてはどうかと2024年春から動き始めたのです。

(左)松屋銀座 食品部 弁当・惣菜・催事係マネージャー 田中翔さん 入社16年目でそのうち14年食品部に所属。自分がおいしいと思ったものを多くの人に伝えたいという思いで仕事に打ち込んでいる

(右)松屋フーズ 商品開発部商品企画グループチーフマネジャー 熊谷雄樹さん 入社16年目。店舗スタッフから始まり、店長、エリアマネジャーを経て販売促進部でその手腕が光る。2024年秋より現職

ただし、田中さんには内輪受けにならないかという懸念もあったそう。そこで思い切って松屋フーズさんと腹を割って話してみようということに。

熊谷さんいわく、「なんだか面白そうだと思いました。もともとは両社の前任者の間ではSNS上で、実は松屋と一緒になりましたといったエイプリールフールのネタとして発信するのはどうかという話でした」

しかし、この企画を引きついだ田中さんは食品部のバイヤーを長年担当していたので、SNSだけでなく実際に商品を店頭に並べたいという思いを日に日に強くしていったのだとか。

「食品担当としてこの企画にかかわりたかったのもありますね。だから松屋さんと言えば牛めしなので、ぜひ催事用に商品を作ってもらえませんか、とお願いしました 」(田中さん)

目指すは銀座クオリティの牛めし

同い年である田中さんと熊谷さんはこのプロジェクトが始まったそのときから、なにかのご縁だという感覚をお互いに持っていたそう。田中さんからは「今回のニク活では、このコラボメニューを目玉にしたい」「みんなが知っている“松屋の牛めし”を、銀座らしい特別感、舌の肥えた松屋銀座のお客様にも満足してもらえる味にアレンジして提供したい」と。

熊谷さんもそれを受けて「うちの看板メニューである牛めしは外せないと思いました。通常の店舗で出すものではおもしろくないから、そこに銀座らしさ、松屋さんらしさを載せて上位互換的なものを作りたいと考えたんです」

そこでできあがったのが、高級牛の代名詞・ 神戸牛を使ったスペシャルな牛めしです。

自社だけでなく、他店でも、神戸牛を使った牛めしは見たことがなかったため、今回はとても大きな挑戦だったと商品開発をした熊谷さん振り返ります。「通常は肉を特製だれで煮るだけですが、こちらの商品は肉を一度焼いて、神戸牛ならでは脂のうまみを閉じ込めてから、神戸牛用の 特製だれで煮ています。そしてタマネギや紅ショウガ、米も国産を使用。特に、米は粘り気があり粒立ちがいいものを使っています」と今回のこだわりを教えてくれました。

その結果、初めて試食した際に「これはうまい!」と思わず言ってしまうほどの完成度の高さに。これには驚きを隠せなかったと田中さんは語ります。

味は問題ないけれど、商品の顔が決まらない苦悩

味は言うことはないが、数ある商品の中から選んでもらうには見た目も大切。その部分が少し違う気がしたと田中さん。というのも、試食の際は、四角い2段のお弁当箱で、下にごはん、上段に牛めしとごまあえなどの副菜を盛った、よくある弁当スタイルだったからです。

「商品の顔ともいえる見た目をどうするかで、お客様が“ときめく”かどうかが決まります。悩んだ末にたどり着いた答えが“わっぱ”でした」(田中さん)

熊谷さんとしては、「百貨店の高級弁当は四角でお重のようなスタイルをイメージしていたのでこの指摘には驚きました。しかし、お客様目線にたった田中さんのわっぱ案になるほどと思い、すぐに商材を取り寄せて吟味しました」

そうして副菜も入るお弁当スタイルではなく、牛めしが主役でおいしさを再認識できる丼スタイルになったのです。

次から次へと続くリクエストに応えたい

さらに田中さんのリクエストは続きます。牛めし以外に、松屋の店舗で人気のハンバーグを高級仕様に変更し、牛めしとハンバーグが決まったところで、もうひとつ、“肉”を前面に出したニク活 にふさわしいがっつりメニューはないかと相談。そのリクエストに応えるために奔走する熊谷さんがたどり着いたのは、店頭でも人気のトンテキでした。

「ガツンとニンニクを効かせたのが特徴です。そして吟味した国産豚肉を150gも乗せたボリューム満点のお弁当に仕上げました」(熊谷さん)


こうして1年強かけて、何回も打ち合わせを重ねて完成したのが「神戸牛 牛めし」「と「国産黒毛和牛のうまトマハンバーグ」「雪国育ちの濃厚トンテキ」 、この3種がニク活に並びます。松屋銀座開店100周年を記念した限定メニューなので、この機会をお見逃しなく!

今回の「ニク活」限定です! 3つのダブル松屋コラボメニュー

このメニューに出会えるのは地下1階催事スペースにて、4月9日(水)-15日(火)の7日間だけ!

ほかにも、肉の名店から看板メニューが続々登場!

100年、銀座で愛されてきた松屋銀座が「銀座で探す私の推しニク」をテーマにニク活を開催します。「各店舗の定番・看板メニュー以外にも、遊び心ある肉料理が揃い、肉のおいしさを再発見できるイベントを目指しました」と田中さん。地元で長らく愛される老舗や、東京にはないお店の惣菜や弁当が勢揃い。ここではその中から選りすぐりの3品をピックアップして紹介します。

Pick UP01/地下1階〈千駄木腰塚〉
自家製コンビーフTKG 1381円/1個

「職人が丁寧に手ほぐしした牛肉と上質な牛脂とを混ぜ合わせて製造したコンビーフは弊社の看板商品です。軽井沢のフードコードで人気のメニューを期間限定で松屋銀座にて提供。お米・コンビーフ・醤油・野沢菜・卵の割合をベストにするために何度も試行錯誤を重ね、黄金バランスを見いだした自慢の一品です」(千駄木腰塚  新規事業本部長 山本剛史さん)

Pick UP02/地下1階食品催場〈お肉処 DELI 牛蔵〉
尾崎牛モモステーキ重〈大盛〉 2700円/1折

「さまざまな銘柄牛を買える〈お肉処 DELI 牛蔵〉では希少とも言われる尾崎牛を使ったステーキをはじめ、焼き肉重や3種銘柄のステーキ弁当などが登場します。普段の売り場では使用しない鉄板を使って表面はカリッと中はジューシーに仕上げシズル感を出すために焼き加減や時間など徹底研究して作り上げました」(お肉処 DELI 牛蔵 小田尚弥さん)

Pick UP03/地下1階食品催場〈銀座吉澤〉
松阪牛メンチカツ 501円/1個

「脂がおいしい雌牛のみを使った和牛で精肉からしゃぶしゃぶ、すき焼きを提供する吉澤の人気メニューが松阪牛のメンチカツです。原料は肉も脂も松阪牛を100%使用し、メンチカツは上質なうまみと香りが口に広がる贅沢な味わい。100年先も残したい松阪牛のおいしさを再認識できる味です」(銀座吉澤 通販事業部 丸山拓也さん)

松屋のニク活 in GINZA

一度は食べてみたい肉屋のプライドがひしめき合う逸品が勢揃い

地下1階・地下2階の常設店に加えてこのイベントのために出店するさまざまなジャンルのお店から自慢の肉料理が集結。「銀座で探す私の推しニク」をテーマに、老舗や東京にはないお店などの、チャーシューやメンチカツ、コンビーフなど看板商品をお楽しみいただけます。またフレンチ、イタリアン、中国料理などをオープンキッチンで振る舞ってくれる日替わりシェフも登場。ここでしか味わえない、自分の推しとなる肉料理を見つけられそう。

開催日時:2025年4月9日(水)-15日(火)
開催場所:地下1階弁当・惣菜、食品催場、地下2階

PHOTO/MASAHIRO SHIMAZAKI TEXT/MIE MINEZAWA